2017-06-21

「あじさいまつり」にて ―― 濡れても平気な小さな花火/東京都文京区・白山神社 【日本旅】

東京都文京区「白山神社」あじさいまつりで撮影した紫陽花の写真

白山神社/東京都/日本
Hakusan-jinja/Tokyo/JAPAN

滲む灰色の雲 冷たくなった肩 つるつるのマンホール
揺れる水たまりの向こうに 傘の列
しとしと しとしと 雨の織りなす宇宙に
濡れても平気な小さな花火が 鮮やかに 咲いている
ずっと そこに いたんだね


花火のように美しい薄い青紫色のガクアジサイの花
「ガクアジサイ」というのでしょうか、深緑色の夜空に咲いた花火みたいですね。

紫陽花の話の前に、ちょっと桜の話を・・・。

以前、通勤でJR東海道線を利用していたことがある。
毎朝、横浜から東京へと向かうのだが、春には、車窓から たいへん美しい桜が、各所で見られた。

周辺一帯を艶やかに染める桜の密集地もあれば、下車して歩いてみたくなるような、いい感じの桜並木もある。
そして、家と家の合間や 街角に、ポツネンと輝いている一本桜もある。

たくさんの桜が集まった場所は、動いている電車内から見ていても花見気分になれるほど、華やかで魅力的。
しかし、私はどちらかというと、独りで花を咲かせている、そんな桜の木が気になってしまう。
「へぇ、あんな所に桜があったんだぁ」

1年のうちのほとんどの期間、そこに桜があることなんて全く気づかずに、毎日毎日、ぼんやり車窓を眺めている。
一本の桜が美しい花を咲かせたとたん、突如その存在を知らされることになるのだ。

人はいつも、花しか見ていないのか・・・。

この時期以外、存在感を消している紫陽花


それでも桜の場合、その木自体も立派なものが多い。
桜の木がそこにあると認識されてしまえば、1年のうちの 花の無い期間、例えば冬でも、木自体が存在感を保っている。

ところが紫陽花は違う。
秋、冬、春と、花だけでなく からだ全体で、その存在感を ほぼ消している。
よく見れば、枯れた株のような物が土から出ているのはわかるが、ほとんど目に留まることはない。

それが、桜が終わり、人々が深緑に目を奪われているあたりから、ぐんぐんと成長し、元気に茎を伸ばし、青々とした葉を広げ、ついには 色とりどりの花を咲かせる。いくつもいくつも、一斉に。

そこで人は、「へぇ、こんな所に紫陽花があったんだぁ」と、いうことになる。

東京都文京区「白山神社」あじさいまつりで撮影した紫陽花と神社
白山神社(東京都文京区)

あじさいまつり


「文京あじさいまつり」が催されていると伺い、先日、白山神社(東京都文京区)へ行ってみました。
たくさんの人、そして、たくさんの紫陽花。

人は「花」が好きなんでしょうね。そして「祭り」も好きなのでしょう。
美しい花の名前を冠した祭りとなれば、多くの人がやって来ます。

かく言う私もその一人。
恐縮ながら、「あじさいまつり」の名を目にしていなければ、果たしてこの地を訪れたかどうか・・・。

多くの人の訪問に、参道近くの喫茶店は、いつにないような雰囲気で、とっても忙しそうにしていました。

白山神社の神様も、お祭り期間中はたくさんの人が押し寄せて、お願いごとを聴くのが大変だったかもしれませんね。

薄緑色と薄ピンク色の混ざった小さな紫陽花の花をアップで



2017-06-11

黒く彩られたオーヴェルニュの中心都市「クレルモン=フェラン」 【フランス旅】

オーヴェルニュの中心都市クレルモン=フェランの大聖堂
Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption

クレルモン=フェラン/オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ/フランス
Clermont-Ferrand/Auvergne-Rhône-Alpes/FRANCE


前回の記事で、クレルモン=フェランの町のシンボル、ノートル・ダム・ドゥ・ラソンプシオン大聖堂(Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption)の「黒さ」が印象に残ると書いた。

そして、その大聖堂の黒い色が、夕刻、更にどんどん深くなってゆき、とても趣があると・・・。

そのため、掲載していた写真は、ライトアップされた大聖堂の夜景。
美しい写真ではあるが、これでは 建物の黒さや、建材として使用された石の黒さが伝わらない。

・・・ということで、今回、明るいうちに撮影した写真を掲載する。

前回も書いたが、良く言えば「落ち着いた」、悪く言えば「暗く重い」印象を受ける。そんな色合いだ。

クレルモン=フェランの大聖堂の横にあるヴィクトワール広場を走る少年たち
Place de la Victoire

そして下は大聖堂の内部の写真。

どの町の聖堂も他に引けを取らず素晴らしいが、
建物自体が暗い色調だから尚のこと、堂内の装飾やステンドグラスの鮮やかさが、より引き立って見える。

オーヴェルニュの中心都市クレルモン=フェランの大聖堂のステンドグラスに見入る二人
Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption




【行き方】
・鉄道を利用する場合
 パリ、リヨン駅から、およそ3時間~3時間半
・飛行機を利用する場合
 パリ、オルリー空港、またはシャルル・ド・ゴール空港から、およそ1時間
 その他の都市からの便も就航している。

【主な見どころ】
・Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption (ノートル・ダム・ドゥ・ラソンプシオン大聖堂)
・Basilique Notre-Dame-du-Port (ノートル・ダム・デュ・ポール聖堂)
・Rue Pascal (パスカルの道)
・Vieux Clermont (旧市街全体)
・Puy de Dôme (ピュイ・ドゥ・ドーム)/街から離れるので、車かバス移動が必要。

【参考サイト】
Office de Tourisme et des Congrès de Clermont-Ferrand (クレルモン=フェラン観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)
Aéroport Clermont-Ferrand Auvergne (クレルモン=フェラン・オーヴェルニュ国際空港)

2017-06-01

夜空に沈む 黒く美しい大聖堂/オーヴェルニュの中心都市「クレルモン=フェラン」 【フランス旅】

オーヴェルニュの中心都市「クレルモン=フェラン」の町の中心に聳える「ノートル=ダム=ド=ラサンプション大聖堂」の夜景
Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption

クレルモン=フェラン/オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ/フランス
Clermont-Ferrand/Auvergne-Rhône-Alpes/FRANCE


クレルモン=フェラン一番の見どころは、町のシンボルでもあるノートル・ダム・ドゥ・ラソンプシオン大聖堂(Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption)だろう。

ゴシック様式の立派な聖堂を目の前にすると、その大きさも然りながら、色の「黒さ」が印象に残る。

もちろん決して汚れているわけではない。建材として使われた石の色なのだ。
街を見渡せば、大聖堂以外の建物にも、同じ黒い石で造られた建物がたくさんある。

そのため、町自体の雰囲気も、そのシックな色調から、良く言えば「落ち着いた」、悪く言えば「暗く重い」印象を受ける。

建材として使われている石は玄武岩とのことで、近くの火山から採取されたものらしい。

「火山」に「玄武岩」。。。なんだか学生時代の地学の授業を思い出してゾワゾワしてしまうが、確か・・・マグマが冷えてできた岩石を「火成岩」と言って、火成岩には地表に近い場所で急に冷えて固まった「火山岩」と、地下深くでゆっくり冷えてできた「深成岩」があり、前者の「火山岩」のうち、含まれる鉱物の割合から黒っぽくなったヤツが玄武岩で・・・(止めます・・・)。

火山があることで、思い浮かぶものと言えば「温泉」や「ミネラル・ウォーター」などだが、クレルモン=フェランのすぐ北に、日本でも有名なヴォルヴィック(Volvic)の村がある。

闇に沈んでゆく 美しき大聖堂


さて、黒い大聖堂の話に戻るが、夕刻、空が黒ずんでゆく時間帯に眺めるていると、とても趣がある。
黒い建物のその色が、更に深く、どんどんと沈んでゆくのだ。
そしてある時、仄かにライトアップが始まる。

大聖堂の正面に伸びるグラ通り(Rue des Gras)から眺めると、街の灯りと調和するように、光に覆われた2本の尖塔が しっとり浮き上がり 幻想的だ。(冒頭写真参照)

また、天気の好い日の昼間に、この「グラ通り」から大聖堂に背を向け、真西を眺めてみると、オーヴェルニュの火山群の中心である山、ピュイ・ドゥ・ドーム(Puy de Dôme)が見えるらしい。

とても良い景色だと 地元の人に教わったのだが、残念ながら、私は見ることができなかった。
曇っており、遠景が霞んでいたのである。
・・・ということで、この時は、下のように、街の写真だけに留まった。

次回訪れた際には、天気が好いといいなぁ。。。

晴れた日はピュイ・ドゥ・ドーム(Puy de Dôme)が見えるクレルモン=フェラン旧市街、グラ通り
Rue des Gras



【行き方】
・鉄道を利用する場合
 パリ、リヨン駅から、およそ3時間~3時間半
・飛行機を利用する場合
 パリ、オルリー空港、またはシャルル・ド・ゴール空港から、およそ1時間
 その他の都市からの便も就航している。

【主な見どころ】
・Cathédrale Notre-Dame-de-l'Assomption (ノートル・ダム・ドゥ・ラソンプシオン大聖堂)
・Basilique Notre-Dame-du-Port (ノートル・ダム・デュ・ポール聖堂)
・Rue Pascal (パスカルの道)
・Vieux Clermont (旧市街全体)
・Puy de Dôme (ピュイ・ドゥ・ドーム)/街から離れるので、車かバス移動が必要。

【参考サイト】
Office de Tourisme et des Congrès de Clermont-Ferrand (クレルモン=フェラン観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)
Aéroport Clermont-Ferrand Auvergne (クレルモン=フェラン・オーヴェルニュ国際空港)

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