2019-03-21

ル・トレポーの町営魚市場を訪れる珍客。もしかして常連さん? 【フランス旅】

魚市場の売り物手長海老を咥えて飛び去るカモメ。ル・トレポーの町で。

ル・トレポー/ノルマンディー/フランス
Le Tréport/Normandy/FRANCE


<前回記事の続きです> 町を出るため 車をUターンさせようと、港湾沿いの一本道を走っていたら、小さな町営魚市場(Poissonnerie Municipale)があることに気付いた。

しかも、私がさっきまでいた辺りは人気が少なかったのに対し、ここは人の出入りが比較的多く、ほんのちょっと賑わっている。

市場を訪ねるのが好きなので、少しだけ観てみようと再び車を停めた。

ル・トレポーの町営魚市場(Poissonnerie Municipale du Tréport)内部

建物に入ると、顔を出したばかりの朝日が真っすぐに窓から差し込んできた。
今朝上がったばかりとわかる魚介がキラキラと並んでいる。

やさしそうなマダムが話しかけてきた。「Bonjour. 何にしましょうか?」

「あ、いえ。ごめんなさい。買い物ではないんです。写真、いいですか?」
「魚の? それとも 私の? あははっ!」 マダムは豪快に笑って 隣にいたムッスュを小突いて向こうへ行ってしまった。

どうせならマダムの笑顔も撮りたかったけれど、とりあえず魚介を撮らせてもらおう。私はもう一度ムッスュに訊いた。「写真いいですか?」 頷くムッスュ。

考えてみれば、市場の雰囲気に促されて、これまで幾多の魚介や野菜の写真を撮ってしまったことか。。。
どの町で撮影しても、だいたい同じような写真ばかりになってしまい、代わり映えしない。
それでもやはり旅先では、市場を訪ね その雰囲気に浸るのは楽しい。

ル・トレポーの町営魚市場から海老を咥えて出てくるカモメの様子。

礼を言って外へ出る。
すると私と入れ替わるように一羽のカモメが市場に入って行った。

中から、「お客さんよぉ」と言ったのかどうかは判らないが、そんな感じの声が聞こえる。
・・・と、すぐにカモメが出てきた。手長エビを咥えている。
あら、もしかしたら、常連さん?

カモメは、エビを一旦地面に置き、咥え直して飛び立った。
風に煽られ、ふわふわ漂う。(冒頭写真)

さっきまで暗かった空が、青く 明るくなっている。
澄んだ 冷たい空気が、私の全身を覆い 揺する。

流れに乗ったカモメは、しばらくしてどこかへ消えた。

さぁ、私も、発つとするか。



【行き方】
・電車、バスで向かう場合
隣町のメール=レ=バン(Mers-les-Bains)にSNCFの駅がありますが、ウェブサイトで検索しても、鉄道での行程が示されません。(2019年3月現在)
時刻検索は「oui.sncf」のサイトではなく「sncf.com」を使用すると、下記行程が表示されます。
パリ北駅(Paris Nord)から電車(地方急行TER)でアブヴィル(Abbeville)まで約1h45。
アブヴィルで長距離バス(Car)に乗り換え、ル・トレポー=メール=レ=バン(Le Tréport - Mers-les-Bains)まで約1h20。
乗り換え待ち合わせ時間を含めると、パリからおよそ3h15~4h00で到着。

・レンタカーで向かう場合
アミアン(Amiens)からおよそ1時間20分(約80㎞)
ルーアン(Rouen)からおよそ1時間30分(約100㎞)

【主な見どころ】
・Plage du Tréport (ル・トレポーの浜辺)
・Musée du Vieux-Tréport (旧ル・トレポー博物館)
・Funiculaire du Tréport (ケーブルカー)
・Église catholique Saint-Jacques du Tréport (サン・ジャック教会)
・港や浜辺周辺の街並み

【参考サイト】
Ville du Tréport (ル・トレポー町のサイト)
Normandie Tourisme (ノルマンディ観光の頁)
SNCF (フランス国鉄)

2019-03-11

英仏海峡、断崖絶壁の海岸線の合間にある町「ル・トレポー」 【フランス旅】


ル・トレポー(Le Tréport)の港付近から見た、海岸線の断崖。

ル・トレポー/ノルマンディー/フランス
Le Tréport/Normandy/FRANCE


前回記事に、「かつてオート=ノルマンディー(Haute-Normandie/高いノルマンディー)と呼ばれていたこの辺りの海岸は、切り立った断崖になっている」と書いたが、文章による説明だけではちょっとわかりにくい。

そこで「こんな感じのコトを言っておりました」とご覧いただきたく、冒頭に写真を掲載した。

写真は、ル・トレポーの港の突端にある灯台へ向かう木製の通路辺りを撮影したもの。
向こう側に白い岩肌の断崖絶壁が見える。
また断崖の左下には、若干だが白波のたつ海も見える。

写っている断崖はメール=レ=バン(Mers-les-Bains)という隣町のものだが、ル・トレポーの町の背後にも同じような崖が切り立っている。

港近くの住宅街の奥にはケーブルカー(Funiculaire)の乗り場もあり、浜辺に近い下の町から、崖の中を通って上の台地まで一気に昇ることができ、この町のちょっとした名所にもなっている。

一帯の海岸線はずっとこんな感じで断崖絶壁が続き、所々に河川が海へと流れ出る低くなった土地がある。その周辺に町ができているといった具合。

ル・トレポーもそんな町の一つ。
セーヌ=マリティーム県(Seine-Maritime)とソンム県(Somme)の県境であり、ノルマンディー地域圏(Normandy※)とオー=ド=フランス地域圏(Hauts-de-France※)の地域圏境にもなっているブレル川の河口に位置している。
また、川は現在2本の運河に整備され、港を通って海へと流れ込んでいる。

※ノルマンディー地域圏は、2015年まで存在した「オート=ノルマンディー地域圏」と「バス=ノルマンディー地域圏(Basse-Normandie)」が統合された地域圏です。
※オー=ド=フランス地域圏は、2015年まで存在した「ノール・パ=ド=カレー地域圏(Nord-Pas-de-Calais)」と「ピカルディ地域圏(Picardie)」が統合された地域圏です。

大量の水が流れ出ている、ル・トレポール(Le Tréport)の運河の閘門。

マリーナには漁船の他、プレジャーボートが並んでいる。
町と港を見下ろすように建つサン・ジャック教会(Église catholique Saint-Jacques du Tréport)がひときわ目を惹く。

どこかからゴーという大きな音が聞こえてくる。
音のする方向へ行ってみると、そこは運河の閘門だった。
干潮のため、運河側から大量の水が流れ出している。なかなかの迫力だ。


訪れたのは真冬。やっぱ、海の町は夏に来るのがイイらしい・・・


レンガ積みの美しい住宅が並ぶル・トレポーの街並みを散歩する住人のムッスュと愛犬。

この時の旅で私は、フランスの犬の取材もしていて、
いい雰囲気を醸し出している「犬とご主人のコンビ」を見かけると、写真を撮らせてもらったり、話を色々伺ったりしていた。

たまたま時間帯がよかったのか、犬の散歩に出てくる人が多く、わずかな滞在時間に数匹の犬&飼い主さんと出会った。

しかし、この日は特に朝の気温が低く、手足が悴むほど寒かったため、長く足止めするわけにもいかず、ゆっくり話を聞くことがあまりできなかった。

そんな中、写真のムッスュではないが、「次は夏においでよ。ここ(ル・トレポー)も、メール=レ=バン(隣町)も、とってもイイから!」と、寒風をものともせず熱~く語り続ける方もいた。

確かに夏は良さそうだ。
こじんまりしているが賑やかで華やかな海のリゾートになるのが想像できる。

今回の訪問は下見だ。いつか改めて訪れるための 良さげな町を一つ見つけたということで・・・と、とりあえず そう自分に言い聞かせ、元々の目的地サン=ヴァレリー=シュル=ソンム(Saint-Valery-sur-Somme)へ向かうことにした。



【行き方】
・電車、バスで向かう場合
隣町のメール=レ=バン(Mers-les-Bains)にSNCFの駅がありますが、ウェブサイトで検索しても、鉄道での行程が示されません。(2019年3月現在)
時刻検索は「oui.sncf」のサイトではなく「sncf.com」を使用すると、下記行程が表示されます。
パリ北駅(Paris Nord)から電車(地方急行TER)でアブヴィル(Abbeville)まで約1h45。
アブヴィルで長距離バス(Car)に乗り換え、ル・トレポー=メール=レ=バン(Le Tréport - Mers-les-Bains)まで約1h20。
乗り換え待ち合わせ時間を含めると、パリからおよそ3h15~4h00で到着。

・レンタカーで向かう場合
アミアン(Amiens)からおよそ1時間20分(約80㎞)
ルーアン(Rouen)からおよそ1時間30分(約100㎞)

【主な見どころ】
・Plage du Tréport (ル・トレポーの浜辺)
・Musée du Vieux-Tréport (旧ル・トレポー博物館)
・Funiculaire du Tréport (ケーブルカー)
・Église catholique Saint-Jacques du Tréport (サン・ジャック教会)
・港や浜辺周辺の街並み

【参考サイト】
Ville du Tréport (ル・トレポー町のサイト)
Normandie Tourisme (ノルマンディ観光の頁)
SNCF (フランス国鉄)

2019-03-01

ノルマンディー地域圏北端の町「ル・トレポー」に寄ってみた 【フランス旅】

払暁の中、ル・トレポーの港の傍から、街並みとサン・ジャック教会を眺める。

ル・トレポー/ノルマンディー/フランス
Le Tréport/Normandy/FRANCE


朝、まだ暗いうちに港町ディエップ(Dieppe)を発ち、ソンム県のサン=ヴァレリー=シュル=ソンム(Saint-Valery-sur-Somme)へ向かおうと、県道925を 車で北東に進んでいた。

かつてオート=ノルマンディー(Haute-Normandie/高いノルマンディー)と呼ばれていたこの辺りの海岸は、切り立った断崖になっていて、そのため道は海岸線に平行して走っているが、海沿いではなく 少し内陸の高い平原の上を真っすぐに伸びている。

払暁の広い空に、このところ目立って増えてきた、風力発電用の風車があちこちで唸っている。
地図を見れば、すぐ近くに原子力発電所(Centre Nucléaire de Production d'Electricité)もある。
ある意味、フランスの田舎らしい風景の一つと言える。
一直線の道は更にずっと続く。

30㎞ほど走ったあたりで、D925からD940へと、進むべき道が変わる。
このポイントを間違えないようにと確認した地図上に、気になる町があった。
ノルマンディー地域圏 そして セーヌ=マリティーム県の最北端、「ル・トレポー」。

聞いたことはないけれど、地形を見ても、名前を見ても、どう見ても港町っぽい。
小さな港町には興味がある。ちょっと寄ってみることにした。


楽しそうなニオイのする町


ル・トレポーの町はずれから美しい街並みの屋根屋根を眺める。
中央少し右側、煙突の上に針金で作られた船のオブジェがあり目を引く。

町へ近づくと、眼下に街並みが見えた。
並ぶ屋根の向こうに 海も見える。いい眺めだ。

単調な道をしばらく走って来たので、そろそろ車を停めたくなっていた。
路肩に ちょうど広くなったところがあり、車を寄せる。

降りて背伸び。ん~ぅあーーーあぁぁぁっ・・・。
すぐ近くにお墓があった。

よく見る町の墓地の隣に、200基ほどの同形の墓標がずらり並んだ敷地がある。
もしかしたら、かの上陸作戦による戦いで亡くなられた戦士の方々のお墓かもしれない。(確かではありません)
ノルマンディーを巡っていると時々目にする。

払暁の中、ル・トレポーのメイン通り「フランソワ1世通り(Quai François 1er)」から、サン・ジャック教会を眺める。

車に戻り、海に近い中心街へ下りてゆくと、この町が想像していたものより大きいことがわかった。
まだ人通りは少ないが、楽しそうなニオイのする町だ。
英国風というのだろうか、レンガ積みの建物が多く、どの家もシックで美しくカッコイイ。
同じ英仏海峡沿いの町、フェカン(Fécamp)やディエップ(Dieppe)のそれと似ている。

次の目的地へ向かう時間を遅らせて、ちょっとだけ散策してみることにした。
<つづく>



【行き方】
・電車、バスで向かう場合
隣町のメール=レ=バン(Mers-les-Bains)にSNCFの駅がありますが、ウェブサイトで検索しても、鉄道での行程が示されません。(2019年3月現在)
時刻検索は「oui.sncf」のサイトではなく「sncf.com」を使用すると、下記行程が表示されます。
パリ北駅(Paris Nord)から電車(地方急行TER)でアブヴィル(Abbeville)まで約1h45。
アブヴィルで長距離バス(Car)に乗り換え、ル・トレポー=メール=レ=バン(Le Tréport - Mers-les-Bains)まで約1h20。
乗り換え待ち合わせ時間を含めると、パリからおよそ3h15~4h00で到着。

・レンタカーで向かう場合
アミアン(Amiens)からおよそ1時間20分(約80㎞)
ルーアン(Rouen)からおよそ1時間30分(約100㎞)

【主な見どころ】
・Plage du Tréport (ル・トレポーの浜辺)
・Musée du Vieux-Tréport (旧ル・トレポー博物館)
・Funiculaire du Tréport (ケーブルカー)
・Église catholique Saint-Jacques du Tréport (サン・ジャック教会)
・港や浜辺周辺の街並み

【参考サイト】
Ville du Tréport (ル・トレポー町のサイト)
Normandie Tourisme (ノルマンディ観光の頁)
SNCF (フランス国鉄)

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