2018-04-11

お互い片言なので、恥ずかしがらずに話せる「超~片言ミックス言語会話」で愉しく乗りきる

江戸城大手門をバックに美しく咲く桜

あの花は何というの?
“さくら”です。
サクラ・・・名前もキレイなのね。。。

ついこのあいだ、そんな会話をした。


先日、久しぶりに新幹線に乗ったときのことだ。
窓側に座った私の隣に、外国人マダムが座った。

彼女は3人連れで、通路を挟み、もう2人のマダムが並んで座る。

ちょぴり大きめの声で会話を繰り広げているが、何語を喋っているのかわからない。
揃って楽しそうにしているものの、ちょっと不安そうでもある。

新幹線に乗るのが嬉しいのか、3人集まって自撮りを始めた。

「僕が撮りましょうか?」拙い英語で隣のマダムに言ってみた。
隣のマダムは通路を挟んだ向こうの2人に、「§☇※○Ω◇♀♂!」と何やら声をかける。
おそらく「この人が写真撮ってくれるって!」と言っているのだろう。
スッとカメラ(スマホ)を渡された。

「はい。チーズ 」

そんなやり取りがあって、皆、席に落ち着いた。

「どちらから?」私は隣のマダムに聞いてみた。
「スペインよ」
「ようこそ日本へ。僕はスペイン語は話せないんだけど・・・」
「何語ができる?」

でた! これ、ヨーロッパで知り合った人に、時々聞かれる質問。“何語ができる?” とか “何語で話そうか?” 。。。

「あまり上手くはないのですが、簡単なフランス語、簡単なイタリア語なら・・・」

「それなら私も同じよ。随分前に習ったけど、もう忘れちゃったわ」

ということで、隣に座ったスペイン人マダムとの「超片言 フランス語・イタリア語・英語 ミックス会話」(←いつもだいたいコレで乗り切っているのです。ちゃんと喋れる人が聞くと、笑ってしまうレベルなので恥ずかしいのですが・・・)が始まった。

しばらくは、彼女たちがスペインのどの町に住んでいるかとか、近くにどんな町があるかとか、私が行ったことのあるスペインの町についてとか、そんな話をしていた。

「日本はどうですか? 楽しい?」
「最高よ! 町は清潔だし、皆親切。食べ物も美味しいわ」
「何を食べました?」
「オコノミヤキ! 食べた。でもね・・・」マダムはちょっと悲しそうな顔を作って、鞄の中から小さな筆入れのようなものを出した。
筆入れのジッパを開け、中からおもむろにフォークを取り出す。「ほら。これが無いと、日本では食事できないの。餓死しちゃうわ」
私とマダムは、お子様用の取っ手のついた可愛らしいフォークを見ながらケタケタ笑った。

「あなた、フランス語はどこで習ったの? 日本の学校で教わるの?」
「いや学校ではなくて、独学なんです。だからあまり上手くなくて・・・。でも、うちの奥さんがフランス人の先生に習っているので、時々教えてもらってます」

それを聞いたマダムはちょっとビックリしたような顔をして、通路を挟んだ2人のマダムに「§☇※○Ω◇♀♂!」と声高に言った。
2人のマダムは「あ、そう!」といったような感じで身体を乗り出し、私に「奥さんがフランス人なの?」と言ってきた。

「へ? いや違う違う! 奥さんが“フランス人”ではなくて、奥さんが“フランス人にフランス語を”習っているんです」
慌てて私が訂正し、今度は4人でケタケタ笑った。
周囲の人には、ちょっとうるさくて迷惑だったかもしれない。。。

「富士山って知ってますか?」私は聞いた。
「?」
「とても美しい山です。日本で一番高い山。ほら、あそこに見えてきた 」
「どこどこ? ・・・あ、知ってる。キレイ! わー!」
窓側にいた私は、彼女たちに席を譲ってあげた。

この後しばらくすると、もっと近くに見えてくるから・・・と言っているのに、代わる代わる写真を撮りまくっている。

その様子を見て、私は自分自身が初めて新幹線に乗ったころのことを思い出していた。
私も必死に富士山を追いかけていたような気がする。

撮った写真を何枚か見せてくれたが、案の定、写真の中の富士山はとても小さい。
それでも彼女たちは満足そうだ。

「山の上の・・・白いのは雪?」
「そう」
「キレイね」マダムは興奮気味に続ける。「私の娘がね。以前日本に来たとき、あの山を見ようとしたんだけど、曇っていて見えなかったと言っていたわ。この写真、娘に送らなきゃ。彼女は今、結婚してベネズエラにいるのよ。お腹が大きくって、あと3か月で赤ちゃんが生まれるんだから」
マダムはお腹の大きなお嬢さんの写真をスマホで見せてくれた。

「赤ちゃんが、男の子か女の子か、もうわかっているんですか?」
「女の子よ~。初孫なのよ~」マダムはスマホを抱きしめた。

「フェリシタシオン(Félicitations/おめでとう)はスペイン語で何というのですか?」
「フェリシタシオネス(Felicitaciones)ね」
「¡ Felicitaciones !」正確に言えたか判らなかったが、私は気持ちを込めて言った。
「ア・リ・ガ・ト。楽しみ楽しみ~」両手を頬にあて、無邪気に小躍りするマダム。

「ところで、僕は次の駅で降りるんですけど、皆さんはどこへ行くの?」
「京都よ」
「いいですね。今は“fleur de cerisier”(桜の花)”がとてもキレイだと思いますよ」
「昨日、大きな公園に行ったのよ。人がたくさんいて、花もいっぱい。日本の建物と花が良い景色を創っているの。歩いていると、ひらひらと花びらが降ってきて、雪みたいでとってもきれいだったわ」
「きっと京都でも見られますよ」
「あの花は日本語で何というの?」
「“さくら”です」
「サクラ・・・名前もキレイなのね。。。」
「この時期の、およそ1週間くらいしか見られない、日本人も大好きな花です。日本に今 旅行に来られたことは とても幸運だと思いますよ」
「ホント!?」マダムは嬉しそうに通路を挟んだ2人にそれを伝えた。

「それじゃ僕、ここ(静岡)で降ります。とても楽しかったです。ありがとうございました」
「私たちもよ。ところで、京都って、次の駅?」
「残念ですが、まだ半分も来ていません」
「えーっ!」
「はは・・・忍耐が必要ですね。それじゃ、さようなら。よい旅を続けてくださいね」
「ありがとう。ぷーっ、まだまだ先なのね~。さようなら。よい仕事をね」

私は新幹線を降りた。

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