2017-02-21

セレブリティの街、コート・ダズュール「カンヌ」 【フランス旅】

コート・ダズュール、カンヌのクロワゼット大通りに停まる赤い車
Boulevard de la Croisette

カンヌ/プロヴァンス=アルプ=コート・ダズュール/フランス
Cannes/Provence-Alpes-Côte d'Azur/FRANCE


カンヌの町がある地中海に面した海岸地域を、コート・ダズュール(Côte d'Azur)という。

「コート・ダズュール」と聞いて、その地域のことではなく、真っ先に、某カラオケ店を思い起こされる方もいるだろう。

いつのことだったか・・・私は、コート・ダジュールという名のカラオケ店が初めて街に現れたとき、正直 戸惑った。


コート・ダズュール は、南フランスの風光明媚なリゾート地。
当時、フランスやイタリアが好きな私のような者たちの、憧れの地の一つでもあった。

そんな憧れの地の名を冠した建物が、突如 身近にできてしまったのだ。しかも、我々庶民が集う、カラオケ店ときた。

一般に抱かれているコート・ダズュールのイメージは、ちょっと手が届きにくそうな高級感あふれる保養地。
イタリアのリグーリア地方と併せ、リビエラ海岸とも言われている。
森進一さんのヒット曲「冬の~リビエラ~♪」の、あのリビエラ海岸だ。

あ・・・つい、歌ってしまった。。。カラオケ店「コート・ダジュール」の影響か。。。
そんなわけで、今はその名称にもすっかり馴染んでおり、異存はない。


セレブリティな旧港東岸


カンヌは国際映画祭が開かれる場所としてあまりにも有名である。
華やかなイメージのとおり、海岸沿いのクロワゼット大通り(Boulevard de la Croisette)沿いを中心に、高級ホテルが並ぶ。(冒頭写真参照)

また、パルム・ドール(Palme d'Or)など、映画祭の賞の名になっている「パルム」(シュロ)の葉の絵が、路上に大きく描かれていたりするのを目にすると、世界が注目するセレブリティな街にいることを実感する。

フランスはカンヌ旧港の夜景
Le Vieux Port

映画際のメイン会場となっている建物、パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ(Palais des Festivals et des Congrès)のすぐ裏に旧港がある。
湾状になったその港の東岸に、大きく豪華なクルーザーが何艘も停泊している。

岸から眺めるだけでも、それらがまるで高級マンションのような造りになっているのが見てとれる。

いったい何階建てなのか、部屋がいくつもあると思われる大きなクルーザー。
デッキの真ん中に、高そうなソファーとテーブルが置かれ、そこがリビングルームのようになっている船。
大きなベッドや、映画のスクリーンのようなシステムが見えるもの。
プール付きの豪華絢爛な大型船。
・・・などなど、どれもこれもピッカピカのテッカテカである。

いったいどういう人が持ち主なの? もしかして、どこかの国の王様とか。。。

一方、旧港の北側から西側にかけて、旧市街が広がっている。
こちらは、新市街と打って変わって、庶民的な界隈。
入り組んだ路地に、カフェやレストラン、ブティックが並んでいる。よくある町の風景だ。

旧港も、旧市街に近い西岸や北岸には、豪華なクルーザーはいない。
漁師さん用のボートや普通のヨットが並んでいて、なんだかちょっと、ホッとする。



【行き方】
・ニース・コート・ダズュール空港からバスでおよそ1時間
・パリからTGVでおよそ5時間

【主な見どころ】
・Le Suquet (ル・シュケ/旧市街)
・Boulevard de la Croisette (クロワゼット大通り/海岸通り)
・Rue de Meynadier (メナディエ通り)
・Notre Dame de Lesperance (ノートル・ダム・ドゥ・レスペランス教会)

【参考サイト】
Office de Tourisme de Cannes (カンヌ観光局)
Festival de Cannes (カンヌ映画祭-公式サイト)
Aeroport Nice Côte d'Azur (ニース・コート・ダズュール空港/バス時刻検索)

2017-02-11

冷たい雨が降る中で/ミラノ 【イタリア旅】

ミラノのヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリアで佇む男性

ミラノ/ロンバルディア/イタリア
Milano/Lombardia/ITALIA


イタリア第2の都市、ミラノ。
マルペンサ空港(Aeroporto di Milano-Malpensa)やリナーテ空港(Aeroporto di Milano-Linate)があるので、他国から飛行機でイタリアに入った場合など、この町から、イタリアの旅が始まることが多い。

ミラノへ行く観光客が必ずと言ってよいほど訪れるのがドゥオーモ(Duomo di Milano)だろう。空に突き刺さるような尖塔の、その数の多さがとても印象的な聖堂だ。

ドゥオーモを仰ぎ見ながら、ふと思う。
もしこれをゴジラが踏んでしまったら、きっと痛がるに違いない。

私はゴジラではないが、子供のころ、プラスチックの玩具を踏んでしまい、痛い思いをした記憶がある。
あの小さなプラスチックでも痛かったのだ、密度高くシュンシュン尖塔が伸びるこのドゥオーモを踏むということは、人間が剣山を踏んでしまうようなものだ。

是非、気を付けてほしい。

芸術作品のようなアーケード


ドゥオーモ広場の北側に、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア(Galleria Vittorio Emanuele II)がある。
天井がガラス張りになった、とても美しいアーケードだ。

アーケードと言っても日本の商店街のように、1本道が長く続いているわけではない。
南北およそ200m。東西およそ100m。俯瞰で見ると十字の形をしており、装飾は豪華で天井が高い。アーケード全体が一つの芸術作品のようなのだ。

ミラノのヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア下にあるモザイクの上で回転する人

床はモザイクで装飾されている。
ところどころに 上の写真のような絵が描かれており、中に牡牛を描いたものがある。
その股間の上に靴底をこすりつけ、クルクル回ると幸せが訪れるという。

伝説の信憑性はともかく、クルクル回る人は確かに多い。皆、順番を待っている。
かわいそうに牡牛の股間は、もはや潰れてしまっている。穴ボコがあいているのだ。

外は雨、雨の中で人は、クルクル回ったり、その順番を待ったりなどしない。
アーケードが雨を遮ってくれているからこそ人に余裕が生まれ、伝説が生まれたのだろう。

日本でもミラノでも、やはりアーケードは、雨降り時にはありがたい。




 【 行き方 】
・マルペンサ空港から、シャトルバス(2社)。もしくは直通電車(Malpensa Express)
・リナーテ空港から、シャトルバス。

【 主な見どころ 】
・Duomo di Milano (ドゥオーモ/ミラノ大聖堂)
・Galleria Vittorio Emanuele II (ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア)
・Naviglio Grande (ナヴィーリオ運河沿い)
・Torre Velasca (ヴェラスカ・タワー)
・Chiesa di Santa Maria delle Grazie (サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会)
・Castello Sforzesco e Parco Sempione (スフォルツェスコ城 と センピオーネ公園)
 他

【 参考サイト 】
Autostradale (各空港ー各市内直通バス)
Malpensa Shuttle (マルペンサ空港ーミラノ市内)
Malpensa Express (空港ーミラノ市内直通電車)
Air Bus Linate (リナーテ空港ーミラノ市内)

2017-02-01

柔らかな光が染み入る回廊/トゥール 【フランス旅】

ロワールの中心都市トゥールにあるプサレットの回廊
修復中の Cloître de la Psalette (2009年)

トゥール/サントル=ヴァル・ドゥ・ロワール/フランス
Tours/Centre-Val de Loire/FRANCE


トゥール一番の観光スポットは「旧市街」だ。古い木組みの建物が立ち並ぶ狭い路地を歩くのは、旅情をそそられひときわ楽しい。

中には寂れて人気のない路地もあるが、有名なプリュムロー広場(Place Plumereau)周辺はとても賑やか。飲食店が密集し、昼も夜も人でいっぱいだ。

町のもう一つの見どころとして、サン・ガシアン大聖堂(Cathédrale St-Gatien)が挙げられる。
プリュムロー広場から東へ1㎞ほどと、旧市街からは少し離れてしまうが、時間が許すなら訪ねて損はしない。

左右に2本の塔がそびえるゴシック様式の立派な建造物。
建物全体の姿も、各部分の細かな装飾もとても荘厳で、ゴツゴツしたイメージの建物なのだが、見ると、なんだか不思議と可愛らしく見える。

しばらく正面から眺めていて、理由がわかり、ニヤッとしてしまう。
お分かりだろうか。
顔があるのだ。それも2つ。

フランス、トゥールのサン・ガシアン大聖堂
2008年、修復中の Cathédrale St-Gatien

そういえば、何かの本で読んだことがある。
人間の脳は、条件が整ったある形を見ると、それを人間の顔のように認識してしまうというのだ。

これは私だけかもしれないが、確かに、男性小便器の、液体が流れていくところにあるフタが、ときどき人の顔に見えてしまう。
丸い形をしたフタの、イイ感じのところに穴が開いており、「ニッコリした目」「丸い鼻」「口角の上がった口」のように認識してしまうのだ。

なんでも、「シミュラクラ現象」と言うらしい。
一時期流行った「人面なんとか」というやつも、その現象によるという。

このサン・ガシアン大聖堂の左の塔に、ちょっと笑った顔。右の塔に、少し惚けた顔が見えないだろうか。。。


さて、冒頭の写真だが、2009年にサン・ガシアン大聖堂に隣接したプサレットの回廊(Cloître de la Psalette)を訪れた時の様子だ。

回廊は修復工事の真っただ中。
この日は大雨で、低く垂れこめた雲を通して鈍い光が回廊に届いている。

ゴミや資材が無造作に置かれているその向こうに、仄かに浮き上がる十字架。

修復を終え、すっきりキレイな状態の建物を見るのも良いが、こうやって人が手を加えている姿を見ると、「あぁ、みんな 本当に人が作ったものなんだぁ・・・」と、建物や文化、そして人に、尊敬と愛着の念を覚える。



【行き方】
・パリ、モンパルナス駅からTGVでおよそ1時間15分。

【主な見どころ】
・Le Vieux Tours (トゥール旧市街)
・Place Plumereau (プリュムロー広場)
・Cathédrale Saint-Gatien (サン=ガシアン聖堂)
・Musée du Compagnonnage (職人徒弟制度博物館)

【参考サイト】
Office de Tourisme de Tours (トゥール観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)

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