2017-02-01

柔らかな光が染み入る回廊/トゥール 【フランス旅】

ロワールの中心都市トゥールにあるプサレットの回廊
修復中の Cloître de la Psalette (2009年)

トゥール/サントル=ヴァル・ドゥ・ロワール/フランス
Tours/Centre-Val de Loire/FRANCE


トゥール一番の観光スポットは「旧市街」だ。古い木組みの建物が立ち並ぶ狭い路地を歩くのは、旅情をそそられひときわ楽しい。

中には寂れて人気のない路地もあるが、有名なプリュムロー広場(Place Plumereau)周辺はとても賑やか。飲食店が密集し、昼も夜も人でいっぱいだ。

町のもう一つの見どころとして、サン・ガシアン大聖堂(Cathédrale St-Gatien)が挙げられる。
プリュムロー広場から東へ1㎞ほどと、旧市街からは少し離れてしまうが、時間が許すなら訪ねて損はしない。

左右に2本の塔がそびえるゴシック様式の立派な建造物。
建物全体の姿も、各部分の細かな装飾もとても荘厳で、ゴツゴツしたイメージの建物なのだが、見ると、なんだか不思議と可愛らしく見える。

しばらく正面から眺めていて、理由がわかり、ニヤッとしてしまう。
お分かりだろうか。
顔があるのだ。それも2つ。

フランス、トゥールのサン・ガシアン大聖堂
2008年、修復中の Cathédrale St-Gatien

そういえば、何かの本で読んだことがある。
人間の脳は、条件が整ったある形を見ると、それを人間の顔のように認識してしまうというのだ。

これは私だけかもしれないが、確かに、男性小便器の、液体が流れていくところにあるフタが、ときどき人の顔に見えてしまう。
丸い形をしたフタの、イイ感じのところに穴が開いており、「ニッコリした目」「丸い鼻」「口角の上がった口」のように認識してしまうのだ。

なんでも、「シミュラクラ現象」と言うらしい。
一時期流行った「人面なんとか」というやつも、その現象によるという。

このサン・ガシアン大聖堂の左の塔に、ちょっと笑った顔。右の塔に、少し惚けた顔が見えないだろうか。。。


さて、冒頭の写真だが、2009年にサン・ガシアン大聖堂に隣接したプサレットの回廊(Cloître de la Psalette)を訪れた時の様子だ。

回廊は修復工事の真っただ中。
この日は大雨で、低く垂れこめた雲を通して鈍い光が回廊に届いている。

ゴミや資材が無造作に置かれているその向こうに、仄かに浮き上がる十字架。

修復を終え、すっきりキレイな状態の建物を見るのも良いが、こうやって人が手を加えている姿を見ると、「あぁ、みんな 本当に人が作ったものなんだぁ・・・」と、建物や文化、そして人に、尊敬と愛着の念を覚える。



【行き方】
・パリ、モンパルナス駅からTGVでおよそ1時間15分。

【主な見どころ】
・Le Vieux Tours (トゥール旧市街)
・Place Plumereau (プリュムロー広場)
・Cathédrale Saint-Gatien (サン=ガシアン聖堂)
・Musée du Compagnonnage (職人徒弟制度博物館)

【参考サイト】
Office de Tourisme de Tours (トゥール観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)

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