2017-05-21

リビエラ海岸沿いの長閑な村「チェルヴォ」 【イタリア旅】

イタリア、リグーリア州の村「チェルボ」の教会内部の様子
Chiesa di San Giovanni Battista

チェルヴォ/リグーリア/イタリア
Cervo/Liguria/ITALIA


フランスとの国境からイタリアへ50㎞ほど入った辺り、リビエラの海岸沿いの道(SS1)を東へ向かって走っていると、サン・バルトロメーオ・アル・マーレ(San Bartolomeo al Mare)の町を越えたあたりで、チェルヴォの村が目の前に現れる。

小高い丘の頂に、キレイで色鮮やかな教会の塔が、天に向かってスラリと伸び、その周りに、丘を覆うように村が広がっている。

もともとそこへ行くつもりがなかったとしても、眼前にこの景色が現れると、つい立ち寄ってみたくなる。
チェルヴォの村は、そんな雰囲気を持つ。

ちょっと怖い博物館


村はそれほど大きくない。
北側の入り口から村へ入ってすぐのクラヴェザーナ城(Castello dei Clavesana)の中に、西リグーリア民族博物館(Museo Etnografico del Ponente Ligure )がある。

よくわからずに入ってみたところ、1850年~1950年頃の、この地域の家具や調理器具などの家財道具、工具、農機具、その他諸々が展示されていた。

地域の民俗学を学ぶ場所なのだから、この地方特有の物品が展示されているのは、かつての生活様式などを実際に見ることができて好い。

ただ、当時の人がそれらを使っている様子を、それなりに再現したかったのだろう、人形がいくつも展示されているのだが、首が だら~んとなっているなど、その姿が ちょっと怖い。

無料で見せていただいて、こんなことを言うのも大変申し訳ないのだが・・・。
(※私が訪問したのは2004年秋のことです。現在は様子が変わっているかもしれません。)

イタリア、チェルボの町の「西リグーリア民族博物館」内部
Museo Etnografico del Ponente Ligure

村の中心に、サン・ジョヴァンニ・バティスタ教会(Chiesa di San Giovanni Battista)がある。

外見はカラフルで、見ようによっては可愛らしくも、新しくも見えるが、中に入って驚く。
装飾も絵画も、重厚で手抜かりのない立派なものだ。(冒頭写真参照)

こんなに小さく長閑な村に、こんな立派な教会があるなんて。。。
訪れた人はおそらく皆、そう思うに違いない。

人も ネコも 歩き回る


また、村の中には一部を除き車両が入れないため、猫たちが 我がもの顔で歩き回っている。そして我々人間も、散策がしやすい。

調子に乗って人気(ひとけ)のない村内をウロウロしていると、珍しがられたのか、怪しまれたのかわからぬが、声をかけられた。

「どこから来たの?」
「日本です」
「えー、そんな遠く」
「ええ、まあ」
「うち、部屋貸し してるから見ていき」
「はぁ」
「よかったら、泊まっていき」
「いやぁ、別の町で予約しているので・・・」
「さよか、そら残念やな。次来た時は言うてや。ほいで次は4月においで。ここは4月がメチャいいから。秋はアカン。雨ばっかりや」

チェルボの町で見た玄関前で扉が開くのを待っている猫

我がもの顔の猫がここにも。。。
散歩から戻ったのか、扉の前に おもむろに座って 一声「にゃー」。
すると、一呼吸おいて扉が開き、彼は悠々と中に入っていった。



【 行き方 】
2017年現在、最寄り駅「Cervo S. Bartolomeo」 が廃止されているようで、イタリア鉄道検索のサイトに出てきません。
可能なら、レンタカーで訪れることをお奨めします。(フランス、ニースから約90㎞/イタリア、ジェノヴァから約110㎞)
高速道路を利用の場合は、サン・バルトロメーオ・アル・マーレ(San Bartolomeo al Mare)を降りて約10分。

【主な見どころ】
・Chiesa di San Giovanni Battista (サン・ジョヴァンニ・バティスタ教会)
・Castello dei Clavesana e Museo Etnografico del Ponente Ligure (クラヴェザーナ城 と 西リグーリア民俗博物館)
・Vista dal Mare (浜辺から見上げる村の姿)

【 参考サイト 】
Comune di Cervo (チェルヴォ村)
Trenitalia (イタリア鉄道検索)

2017-05-11

愛嬌たっぷり猫たちの村/オクシタニー「ウス」 【フランス旅】

フランス、オクシタニー地域圏の村「ウス」で出会った愛らしい猫

ウス/オクシタニー/フランス
Eus/Occitanie/FRANCE


ワインを飲まれる方は、よく耳にする名だと思うが、かつて、フランス南西部に「ラングドック・ルシヨン(Languedoc-Roussillon)」という地域圏があった。

このサイトでも何度か触れているが、2016年の地域圏の大合併により、「ラングドック・ルシヨン」は、隣の「ミディ・ピレネー(Midi-Pyrénées)」と合併し、「オクシタニー地域圏」となった。

オクシタニー。。。

最近 日本で、やたら目につく・・・失礼、とてもよく目にするようになった、オシャレなフランス・コスメのお店があるが、そのブランドと同じ由来を持つ名称だ。

ウスの村は、ラングドック・ルシヨンの中心都市の一つであるペルピニャン(Perpignan)から、40㎞ほど西、ピレネーの山に向かって進んだ辺りにある。

小さな教会を中心に、小高い山を覆うように広がる、特に何があるわけでもない、長閑な村。

フランス、ウス村の遠景

訪ねた時間帯もあるのだろう、出会った人は数える程度。
どこかの家の工事に来ていたムッスュと、カフェのテラスで小声で会話する若いカップル。そして、たまたま家から顔を出し、僕と目が合ったマダム。「Bonjour!」

別の町へ行く途中に立ち寄っただけなので、滞在時間も短く、出会った人は少なかったけれど、猫たちにはたくさん出会った。

どの子も愛嬌たっぷりで、全くと言っていいほど警戒心がない。
カメラを構えると、ポーズをとる子までいる。

きっと人に大切にされ、平和に仲良くの~んびり暮らしているんだろうなぁ。。。

フランス、オクシタニーの村「ウス」でポーズをとる子猫




【 行き方 】
ペルピニャンから鉄道で最寄り駅のある町「プラド(Prades)」まで行けるが(約45分~1時間15分)、そこから、おそらくタクシーなどを見つけるのは困難。プラドからウスまで歩けば1時間以上はかかる。
可能なら、ペルピニャンなどからレンタカーを利用しての訪問が良い。(ペルピニャンから西へ約40㎞)

【主な見どころ】
・Eglise Saint-Vincent-d'En-Haut (サン・ヴァンサン・ダン・オ教会)
・Le Village d'Eus (ウス村全体)

【 参考サイト 】
SNCF TER Languedoc-Roussillon ラングドック・ルシヨン地方鉄道

2017-05-01

歩き疲れたら、やすらぎのカフェへ/ラ・ロシェル 【フランス旅】

フランス、ラ・ロシェルのカフェ・ブラッスリー「Café de la Paix」内部の様子
Café de la Paix

ラ・ロシェル/ヌーヴェル=アキテーヌ/フランス
La Rochelle/Nouvelle-Aquitaine/FRANCE


旧港周辺と旧市街の散策が楽しいラ・ロシェルだが、歩き疲れたらぜひ立ち寄って欲しいところがある。

ヴェルダン広場(Place de Verdun)の東側にある Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)という老舗カフェ・ブラッスリーだ。
掲載写真では豪華ホテルのレストランのようにも見えるが、決してかしこまった店ではない。

ベル・エポックというやつだろう、調度品や装飾は素晴らしく、とても雰囲気がいい。
たとえ、注文するのがコーヒー一杯でも、こういう店の片隅に座って時を過ごせば、「フランスを旅している」ということを改めて実感する。

フランスの「ぺ」


ところで、Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)という名のついたカフェが、ラ・ロシェルに限らずいろいろな町にある。
有名なところでは、パリ(Paris)のオペラ座前の Café de la Paix だろう。

そしてこの Paix(ペ)というフランス語の単語だが、「平和」や 「平穏」「やすらぎ」などを意味する。

つまり Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)とは、日本語で言えば「平和のカフェ」「やすらぎのカフェ」となる。

ところが、日本で「ペ」という音は、やや滑稽な音として認識される。
2015年M-1グランプリ王者「トレンディ・エンジェル」の斎藤さんは、「ぺ」と言うだけで笑いをとる。
ひと昔前には「カトちゃん ぺ」というのもあった。

日本ではそんな響きを持つ「ペ」である。これはこれで楽しくて好い。
が、しかし前述したように、フランスでは「平和」「やすらぎ」である。

私は信徒ではないが、教会のミサに出て、神父さんのお言葉を聞いていると、話されている内容のほとんどがわからなくても、この Paix(ペ) の音が、しばしば とても良い響きで聞こえてくる。

「平和を祈りましょう」って言ってるんだなぁ、「世界中の人に安らぎを」ってことだろうなぁと、 Paix の音が耳に届くたび、厳粛な気持ちになる。

Gardons la Paix.


そんな Paix の響きを、最近、たまたま見ていたTV番組で聞いた。

一人の警察官が大勢の前で言葉を述べている。気丈な面持ちながら、どこか悲しみを含んでいるように見える。

聴衆には、フランソワ・オランド(François Gérard Georges Nicolas Hollande)現大統領がいる。次期大統領候補として決選投票(2017年5月7日)に進んだ エマニュエル・マクロン(Emmanuel Jean- Michel Frédéric Macron)氏や、マリーヌ・ル・ペン(Marion Anne Perrine Le Pen)氏といった、対立する二人もいる。

映像は、2017年4月20日にシャンゼリゼ大通りで起きたテロ事件で亡くなった警察官の葬儀を映したもの。弔辞を述べているのは、亡くなった警察官のパートナーだった。

弔辞の中で、彼は言う。
Je t'aime.(ジュ・テーム)
私たち日本人にも理解できるこの言葉を聞くだけでも、相棒への愛情が溢れているのが伝わってくる。

亡くなった相棒が望まないだろうと、「憎しみを持たない」と語る 彼は、最後に、穏やかな しっかりした口調で、こう締めくくった。

Gardons la Paix.(ガルドン・ラ・ぺ/平和を 守ろう。)

<追記>
2017年6月1日のAFPが、フランス大衆紙パリジャン(Le Parisien)5月31日付けの記事として、彼らが死後結婚をしたことを報じていました。
仕事のパートナーであるとともに、人生のパートナーでもあったのですね。



【行き方】
・パリ、モンパルナス駅からTGVでおよそ3時間

【主な見どころ】
・Vieux Port (旧港周辺)
・Tour St-Nicolas et Tour de la Chaîne (サン・二コラ塔 と シエヌ塔)
・Porte de la Grosse-Horloge (大時計門)
・Tour de la Lanterne (ランテルヌ塔)

【参考サイト】
La Rochelle Tourisme (ラ・ロシェル観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)

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