Café de la Paix |
ラ・ロシェル/ヌーヴェル=アキテーヌ/フランス
La Rochelle/Nouvelle-Aquitaine/FRANCE
旧港周辺と旧市街の散策が楽しいラ・ロシェルだが、歩き疲れたらぜひ立ち寄って欲しいところがある。
ヴェルダン広場(Place de Verdun)の東側にある Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)という老舗カフェ・ブラッスリーだ。
掲載写真では豪華ホテルのレストランのようにも見えるが、決してかしこまった店ではない。
ベル・エポックというやつだろう、調度品や装飾は素晴らしく、とても雰囲気がいい。
たとえ、注文するのがコーヒー一杯でも、こういう店の片隅に座って時を過ごせば、「フランスを旅している」ということを改めて実感する。
フランスの「ぺ」
ところで、Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)という名のついたカフェが、ラ・ロシェルに限らずいろいろな町にある。
有名なところでは、パリ(Paris)のオペラ座前の Café de la Paix だろう。
そしてこの Paix(ペ)というフランス語の単語だが、「平和」や 「平穏」「やすらぎ」などを意味する。
つまり Café de la Paix(カフェ・ドゥ・ラ・ペ)とは、日本語で言えば「平和のカフェ」「やすらぎのカフェ」となる。
ところが、日本で「ペ」という音は、やや滑稽な音として認識される。
2015年M-1グランプリ王者「トレンディ・エンジェル」の斎藤さんは、「ぺ」と言うだけで笑いをとる。
ひと昔前には「カトちゃん ぺ」というのもあった。
日本ではそんな響きを持つ「ペ」である。これはこれで楽しくて好い。
が、しかし前述したように、フランスでは「平和」「やすらぎ」である。
私は信徒ではないが、教会のミサに出て、神父さんのお言葉を聞いていると、話されている内容のほとんどがわからなくても、この Paix(ペ) の音が、しばしば とても良い響きで聞こえてくる。
「平和を祈りましょう」って言ってるんだなぁ、「世界中の人に安らぎを」ってことだろうなぁと、 Paix の音が耳に届くたび、厳粛な気持ちになる。
Gardons la Paix.
そんな Paix の響きを、最近、たまたま見ていたTV番組で聞いた。
一人の警察官が大勢の前で言葉を述べている。気丈な面持ちながら、どこか悲しみを含んでいるように見える。
聴衆には、フランソワ・オランド(François Gérard Georges Nicolas Hollande)現大統領がいる。次期大統領候補として決選投票(2017年5月7日)に進んだ エマニュエル・マクロン(Emmanuel Jean- Michel Frédéric Macron)氏や、マリーヌ・ル・ペン(Marion Anne Perrine Le Pen)氏といった、対立する二人もいる。
映像は、2017年4月20日にシャンゼリゼ大通りで起きたテロ事件で亡くなった警察官の葬儀を映したもの。弔辞を述べているのは、亡くなった警察官のパートナーだった。
弔辞の中で、彼は言う。
Je t'aime.(ジュ・テーム)
私たち日本人にも理解できるこの言葉を聞くだけでも、相棒への愛情が溢れているのが伝わってくる。
亡くなった相棒が望まないだろうと、「憎しみを持たない」と語る 彼は、最後に、穏やかな しっかりした口調で、こう締めくくった。
Gardons la Paix.(ガルドン・ラ・ぺ/平和を 守ろう。)
<追記>
2017年6月1日のAFPが、フランス大衆紙パリジャン(Le Parisien)5月31日付けの記事として、彼らが死後結婚をしたことを報じていました。
仕事のパートナーであるとともに、人生のパートナーでもあったのですね。
【行き方】
・パリ、モンパルナス駅からTGVでおよそ3時間
【主な見どころ】
・Vieux Port (旧港周辺)
・Tour St-Nicolas et Tour de la Chaîne (サン・二コラ塔 と シエヌ塔)
・Porte de la Grosse-Horloge (大時計門)
・Tour de la Lanterne (ランテルヌ塔)
【参考サイト】
・La Rochelle Tourisme (ラ・ロシェル観光局)
・Voyages-SNCF (TGV時刻検索)