2018-07-21

水と緑がキラキラ美しい、中世の佇まいが残る小さな町「ソヴテール=ド=ベアン」 【フランス旅】

水と緑がキラキラ美しい、中世の雰囲気が残るバスク地方の小さな町「ソヴテール=ド=ベアン」の風景

ソヴテール=ド=ベアン/ヌーヴェル=アキテーヌ/フランス
Sauveterre-de-Béarn/Nouvelle-Aquitaine/FRANCE


「ガスコーニュ」または「フランス バスク」と呼ばれるこの地域に、「ベアン/Béarn」という名のつく 小さな町がいくつもある。

サン=ジロン=アン=ベアン(Saint-Girons-en-Béarn)、ベ=ド=ベアン(Baigts-de-Béarn)、サリー=ド=ベアン(Salies-de-Béarn)、ソヴテール=ド=ベアン(Sauveterre-de-Béarn)、リュク=ド=ベアン(Lucq-de-Béarn)など。

面白いなぁ、ベアンっていったい何なんだろう? と思って訊ねてみたところ、かつてこの辺りに「ベアン(Béarn)」と呼ばれる州があったのだと言う。

日本で得られる情報は少ないが、背景にピレネー山脈を持つこの辺りは、水資源も豊富で土地も豊か。そして何より美しい自然が残っている。
ブルボン朝の初代フランス国王アンリ4世(Henri IV)がこの地域の中心都市 ポー(Pau)の出身ということで、歴史舞台にも登場する。


「のんびり派」の旅人に もってこいの町


さて、難しいことはいつものようにさておき、冒頭の写真をご覧いただきたい。
その写真の中央辺りを、レンズの倍率を上げて撮影したのが下の写真だ。


バスク地方の小さな町、ソヴテール= ド=ベアン(Sauveterre-de-Béarn)の町に架かるLe Pont de la Légende(伝説の橋)の姿

訪れたこの日は、朝から日差しが強く、気温がぐんぐん上がっていった。
それでも、湿度が低いせいか日陰は涼やかで、無理なく散策できる。

人気のない路地を歩き、高台になっている教会横の広場から、一帯を眺める。

眼下に現れたのは、中世時代に使われていた町の入口門と、伝説の橋(Le Pont de la Légende)の姿。そして、河原や水辺で楽しそうにしている人たちの様子。

たゆたう清らかな水、美しく輝く木々の緑、その合間を、爽やかな風が吹き抜けてゆく。

ふぅ~~~っ。。。

ガシガシ町を歩くことが好きな旅人にとっては、この町へ訪れたとて、物足りなさが募るかもしれない。

しかし、バスク地方の長閑な風景を愛で、風や水の音を感じながら、川原や見晴台のベンチなどで しばらく時を過ごそう・・・などと考える「のんびり派」の旅人には、おそらく この上ない町と言えるだろう。

それにしても、酷暑が続く真夏の日本にいると、この写真の中に飛び込んで行きたくなってしまうなぁ。。。



【 行き方 】
・SNCFオルテス(Orthez)駅前から、サン・パレ(Saint-Palais)行きのバスに乗り、およそ45分。
・ポー・ピレネー空港(Aéroport Pau Pyrénées)から、レンタカーでおよそ1時間(約70㎞)

【主な見どころ】
・Le Pont de la Légende (伝説の橋)
・Eglise Saint-André (サン・タンドレ教会)
・Tour Monréal (モンレアルの塔)

【 参考サイト 】
Commune de Sauveterre-de-Béarn (ソヴテール=ド=ベアン町)
Les Amis du Vieux Sauveterre (ソヴテール=ド=ベアンの友)
Office de Tourisme (Béarn des Gaves)

2018-07-11

詩人「ロバート・ブラウニング」が愛した村「アーゾロ」・・・などと聞きまして。。。 【イタリア旅】


アーゾロ/ヴェネト/イタリア
Asolo/Veneto/ITALIA

一歩踏み出せば
その先 その先へと
世界は 広がってゆく
まず 一歩を


画家や作家、詩人などの著名人が愛した村、などと言われると、何とな~くそこへ行ってみたくなる。
有名な芸術家が好んで住んでいたのだから「きっと素敵なところだろう」「縁の場所を訪ねてみるのもイイかも・・・」などと思ってしまうのだ。

考えてみれば、この手の観光情報を掲げる町や村は多い。
旅行者がその言葉に弱く、惹きつけられることを知っているのだろう。


Castello della Regina Cornaro (キプロス王女コルナーロの城)から Asolo (アーゾロ)の街を眺める。

アーゾロは、ヴェネチアからポー平原(Pianura padana)を北上した、平野部から山間部へと入ってゆく境の丘陵地帯に位置する。

古代のローマ人たちが興した町で、道の両端がアーケードのようになったポルティコ(Portico/冒頭写真参照)や、保存状態のよい中世の建物などが数多く残っており、「街好き」が散策するには持ってこいの町だ。

静かで愛らしい街並み、古く美しい建物、高台からの広大な眺め、そして、人々の穏やかな暮らし・・・。

町自ら大々的に何かを発信しているわけではないので、細かな歴史や観光情報については分からずじまいだったが、小さな町には、魅力がいっぱい詰まっている。


アーゾロ(Asolo)にて、Torre Civicaの見学を終え、バスに戻るちびっ子たち。

ところで、私がアーゾロを訪れたのは、元々この美しい町を知っていて、いつか訪ねてみたいと考えていたからではない。

実は、「詩人ロバート・ブラウニング(Robert Browning)や、ピエトロ・ベンボ(Pietro Bembo)ら、著名人が愛した村」といったフレーズを、ほんの数日前に何処かで見かけたからなのだ。

しかも、ロバート・ブラウニングも、ピエトロ・ベンボも、恥ずかしながらよく存じ上げない。

つまり、冒頭に記したように、発信された情報に上手~く誘われ、フレーズに乗せられ、訪ねてしまったのだ。

そんな状態で訪れたにも関わらず、アーゾロの街歩きはとても楽しいものだった。

もしかしたら「旅」なんて、そんなモンなのかもしれないなぁ。。。


交互一方通行となっている、アーゾロ(Asolo)の入り口にあたるブロウニング通り(Via Browning)。
街の中にある駐車場を利用する場合は注意が必要。
車で街なかに入れる時間帯が決まっていたり、
信号による交互一方通行になっている場合がある。



【 行き方 】
・ミラノ中央駅(Milano Centrale)から鉄道でカステルフランコ・ヴェネト(Castelfranco Veneto)まで、約2時間30分~3時間30分。
 カステルフランコ・ヴェネト駅からタクシーでおよそ30分。
・ヴェネツィア・マルコ・ポーロ国際空港から、レンタカーでおよそ1時間15分(約70km)。

 【主な見どころ】
・Rocca di Asolo (アーゾロ要塞)
・Museo Civico di Asolo (アーゾロ市立博物館)
・Castello della Regina Cornaro (キプロス王女コルナーロの城)
・Duomo di Asolo (大聖堂)
・中世の街並みが見られる町全体

【 参考サイト 】
Comune di Asolo (アーゾロ市)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

2018-07-01

高岡(富山県)の瑞龍寺を思い出した。ローヌ=アルプの小さな美しい村「サント=クロワ= アン=ジャレ」 【フランス旅】

フランスの美しい村「サント=クロワ=アン=ジャレ」の入口の門

サント=クロワ=アン=ジャレ/オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ/フランス
Sainte-Croix-en-Jarez/Auvergne-Rhône-Alpes/FRANCE


リヨン(Lyon)で車を借り、遺跡のある町 ヴィエンヌ(Vienne)を経由して、ピラ自然公園(Parc Naturel Régional du Pilat)の なだらかな山間地に入っていく。

陽の光を浴びて輝くブドウ畑を見下ろし、涼やかな風が流れる牧草地を抜け、細い林道の木漏れ日をフロントガラス越しに感じながら、気持ちよーくなってきたころ、前方正面に 左右対称の石積み門が現れる。(冒頭写真↑)

山間にポツンと存在する小さな村「サント=クロワ=アン=ジャレ」だ。

門を中心に左右に広がる建物は 一見、城壁に見える。
しかし聞いたところによると、それは13世紀に建てられた修道院の一部だという。

そして、この門に連なる建造物の全体、つまり、もともと修道院だった一連の建物が、現在 そのまま一つの集落になっているらしい。

かつての宗教施設を改造し、役場や学校、民家として使っているようなのだ。

サント=クロワ=アン=ジャレの民家。窓から顔を出す住人の様子
修道院だった建物を改造した民家の窓から外を眺める住人の方

門から建物内、いや、村内へと入ってみる。

石造りの古い建物が連なり、十字架が掲げられた質素な中庭もあって、元来が修道院であることがよくわかる。

子供たちは、砂遊びや かくれんぼ のようなことをして遊んでおり、少し離れて、大人たちが 若者からお年寄りまで、 世代を超えた友人のように ペタンクを楽しんでいる。

あまり耳にしたことのないような鳥の声。子供たちの歓声。ペタンクの球が 地面に落ちる音と 鉄球同士がカツンとぶつかる音。大人たちの静かな話し声。
それ以外に、音はない。

青い空、白い雲、薄茶色の石積みの建物、緑の木々・・・。
目の前にあるものは 数えられるほどに 限られており、村自体も小さいのに、この場所に立って感じるのは、時間的、そして 空間的な「永遠」。

ローヌ=アルプの美しい村「サント=クロワ=アン=ジャレ」集落の中庭でペタンクをして遊ぶ人たち

和と洋の違いはあれど・・・


村の真ん中あたりで佇み、地図を眺めながら ふと考えた。
日本にもこういう所があるだろうか?
例えば、昔、お寺や神社だった建物が、そのまま集落になったような・・・。

思い当たらなかった。

ただ、集落ではないものの、建物の連なった感じや 中庭の存在、そして 美しく穏やか~な雰囲気を持つ場所として、私は、高岡(富山県)の瑞龍寺を思い出していた。

ずいぶん突飛な例えだなぁと、自分でも思いつつ・・・。


Sainte-Croix-en-Jarez(サント=クロワ= アン=ジャレ)


瑞龍寺(富山県)

修道院だったこの建造物も 高岡の瑞龍寺も、正面の門から入ると、建物が左右対称に近い形で配列され、中庭があり、建物の繋がり具合や その規模が、ちょっと似ているんじゃないかなぁ・・・と。
(きっと他にも同じようなお寺さんがあるのだろうけれど、たまたま思い浮かんだのが瑞龍寺だったのでした。。。)

この例えが 的確かどうかは ともかく、、、
世間の いろんなことを忘れてしまいそうになるくらい、の~んびりした、長閑~な、そんな村。

昼間、目を閉じ、草原を渡る風に吹かれてみたり、
夕方、民家から漏れる灯りや、夕餉の匂いに心絆されたり、
夜半、満天の星空の下で「小さいなぁ・・・」と呟き、一人 笑ってみたり、
早朝、なだらかな山々を順々に染めてゆく朝日を拝んでみたり と、
ここに宿をとって、呼吸を 深~く ゆっくり繰り返しながら、一日を過ごしてみるのもイイかもしれないなぁ。。。

フランスの美しい村「サント=クロワ=アン=ジャレ」の集落を外から眺めた姿。羊たちがのんびり草を食んでいます。
羊たちが のんびり 草を食んでいます。


【 行き方 】
リヨン(Lyon)から鉄道で、サント=クロワ=アン=ジャレの北方にある町 リヴ=ドゥ=ジエ(Rive-de-Gier)へ向かい、そこからタクシーで向かう方法もあるが、リヴ=ドゥ=ジエ の鉄道駅が小さいこともあり タクシーを見つけられない可能性が高い。
そのため、レンタカーでの訪問がおすすめ。
リヴ=ドゥ=ジエ駅 から サント=クロワ=アン=ジャレの集落までは 山道を およそ10㎞。

【主な見どころ】
・Le Village de Sainte-Croix-en-Jarez (サント=クロワ=アン=ジャレ村全体)

【 参考サイト 】
Mairie de Sainte-Croix-en-Jarez サント=クロワ=アン=ジャレ村役場

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