2018-11-21

洋菓子「パリ・ブレスト」と、ブレストの交通網「Bibus」 【フランス旅】

ブレスト・ブルターニュ空港(Aéroport Brest Bretagne)のエントランス
ブレスト・ブルターニュ空港(Aéroport Brest Bretagne)

ブレスト/ブルターニュ/フランス
Brest/Bertagne/FRANCE


3年ほど前だろうか、NHK朝の連続テレビ小説に「まれ」という、土屋太鳳さんが主演を務めたドラマがあった(この記事を書いているのは2018年です)

普段「朝ドラ」は観ない方なのだが、石川県が舞台だと聞いて 録画して観ていた。

ある回で、漆器職人である まれの夫の所に、取り引き(?)をするためフランス人のムッスュがやってきた。
話は好転せず、冷たくあしらって帰ろうとするムッスュのところに、まれが手作りのお菓子「パリ・ブレスト」を持って現れ 引き留める、といったシーンがあった。

「パリ・ブレスト? なんじゃそれ」 ブレストという町の存在は知っていたものの、恥ずかしながら私は、そんな名前のお菓子があることを知らなかった。

調べてみた――。
《「Paris-Brest」生地を輪状にして焼いたシュークリーム。1891年、パリとブレスト間を走る自転車レースの開催を記念して作られたとされる。リングシュー。》 デジタル大辞泉より。

なるほど~。自転車の車輪をイメージして作られたお菓子なんですね。ウェブ上には、同時に美味しそうな画像もたくさん出てくる。

1891年と言えば 120年以上も前になる。
確かにフランスでは ツール・ド・フランスをはじめ自転車競技の人気は高いが、そんなに前から・・・。

パリ―ブレスト間はおよそ600㎞。何も自転車で走らなくても、という気はするが、記念のお菓子が登場するくらいスゴイことだったのだろう。


飛行機を使うか、TGVに乗るか


現代では、パリからブレストへ向かう場合、鉄道か飛行機を使うことになるが、圧倒的に飛行機が有効だ。
どうしてもTGVに乗りたい! と言うなら別だが、フランスが誇る超高速列車TGVでも3~4時間かかってしまう。

それに比べ飛行機のフライトは およそ1時間。ブレスト郊外にある「ブレスト・ブルターニュ空港」も新しくて快適だ(冒頭写真参照)。


空港から町へは、バスとトラムを乗り継いで行く。
具体的には、40番のバスで「Porte de Guipavas」 へ。そこからトラムで市街地へ、となる。
私は実際に使ったわけではないが、ブレストの交通網(Bibus)はとてもわかりやすく、ネットで調べればすぐにわかる。

また、バス、トラムに加え、川の両岸(Station Ateliers ー Station Jean Moulin)を繋ぐロープウェイがあるなど面白い。

観光客はもとより、市民の暮らしにとても役立っているのではないかと感じる。

ブレスト(Brest)に架かるルクーヴランス橋(Pont de Recouvrance)から眺めた軍港のあたり
ポンフェル川の両岸をロープウェイ(téléphérique)が繋いでいる。
SNCFのブレスト駅。目の前に各地へ向かうバスターミナルがある。
ブレストの鉄道駅。各地へ向かうバスターミナル(Gare Routière)はこの駅の前にある。



【行き方】
・鉄道を利用する場合
 パリ、モンパルナス駅から、およそ3時間半~4時間
・飛行機を利用する場合
 パリ、シャルル・ド・ゴール空港、またはオルリー空港から、およそ1時間
 その他の都市からの便も就航している。

【主な見どころ】
・Pont de Recouvrance  (ルクーヴランス橋)
・Musée National de la Marine (国立海洋博物館)
・Tour Tanguy (タンギー塔)
・Rue Jean Jaurès (ジャン・ジョレス通り)
・Rue de Siam (シアム通り)

【参考サイト】
Office de tourisme de Brest métropole (ブレスト観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)
Bibus (ブレスト市交通網)
Aéroport Brest Bretagne (ブレスト・ブルターニュ空港)

2018-11-11

心地いい。ブレストに残る庶民的界隈 【フランス旅】

ブレスト旧市街のサン・マルタン教会(Eglise Saint Martin)
Eglise Saint Martin

ブレスト/ブルターニュ/フランス
Brest/Bertagne/FRANCE

尖がり屋根の教会は
人を天へ運ぶ ロケットのよう
しかしそのロケットは
人を人の中へと運んでゆく
天も 中も 同じところか
全てはそこにある


ブレストの街はポンフェル川(Le Penfeld)の両岸に広がっている。

街の中心は左岸(東側)にあり、河口に近い ルクールヴァンス橋(Pont de Recouvrance)から、シアム通り(Rue de Siam)、自由広場(Place de la Liberté)、ジャン・ジョレス通り(Rue Jean Jaurès)と、北東方向へ一直線に伸びる通りに沿って、ブティックやカフェ、レストラン、デパートなどが並んでいる。

前回記事で、街歩きに魅力を感じる人は少ないかもしれない、と書いたが、目抜き通りのジャン・ジョレス通りから ちょっと入った、サン・マルタン市場(Halles Saint Martin)の周辺や、その東側にあるゲラン広場(Place Guérin)の辺りは、とてもよい雰囲気だ。

表通りの街並みと異なり、決してお洒落な界隈とは言えないが、古い建物も残っていて、そこに生活する人たちの 素朴な暮らしの一端を感じることができる。
ゆるり歩きながら、その雰囲気に浸るのは心地いい。

また、スラッとしたブルターニュっぽいデザインの、サン・マルタン教会(Eglise Saint Martin)も、この地方の中心都市の教会として立派で格好がいい(冒頭写真参照)。


ブレストの庶民的界隈、サン・マルタン市場(Halles Saint Martin)。
サン・マルタン市場(Halles Saint Martin)周辺

ヨーロッパ最大の昇開橋とその周辺


ポンフェル川の両岸を繋ぐ「ルクールヴァンス橋」はヨーロッパ最大の昇開橋として有名だ。 

渡ってみると、離れて見ていた時と比べ、ややこじんまりした印象を受けるが、人や車だけでなく、トラムまでが昇開する橋の上を渡っていると思うと何だか面白い。

橋の上や周辺からの眺めはよく、国立海洋博物館(Musée National de la Marine)が入っている かつての城塞や、いかにも戦いのために造られた風貌の タンギー塔(Tour Tanguy)などが目前に見られる。(前回記事の写真をご参照ください)

眼下には、フランス軍のものと思しき船舶も停泊しており、フランス最大級の軍港を持つ町としてのブレストを実感することになる。

また、昔から海軍の要所とされていた町らしく、橋を望むテラスに水夫の像があるのだが、キリッとしたカッコいい水兵さんの姿ではなく、女性に詰められ慌てた表情をしているのがユーモラスでとてもいい。

港には、いろいろな物語がつきものってことですかね。






【行き方】
・鉄道を利用する場合
 パリ、モンパルナス駅から、およそ3時間半~4時間
・飛行機を利用する場合
 パリ、シャルル・ド・ゴール空港、またはオルリー空港から、およそ1時間
 その他の都市からの便も就航している。

【主な見どころ】
・Pont de Recouvrance  (ルクーヴランス橋)
・Musée National de la Marine (国立海洋博物館)
・Tour Tanguy (タンギー塔)
・Rue Jean Jaurès (ジャン・ジョレス通り)
・Rue de Siam (シアム通り)

【参考サイト】
Office de tourisme de Brest métropole (ブレスト観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)
Bibus (ブレスト市交通網)
Aéroport Brest Bretagne (ブレスト・ブルターニュ空港)

2018-11-01

フランス国土の西の端、戦後復興により造られた町「ブレスト」 【フランス旅】

トラムが走るブレスト(Brest)の目抜き通り、ジャン・ジョレス通り(Rue Jean Jaurès)
Rue Jean Jaurès

ブレスト/ブルターニュ/フランス
Brest/Bertagne/FRANCE


フランス北西部にブルターニュと呼ばれる地域圏がある。
その名からも推察できるが、ブリテン諸島(イギリスなど)と歴史上、地政学上深いつながりがある。

ちなみに「グレート・ブリテン」のことをフランスでは「グランド・ブルターニュ」と言う。
フランスの一地域「ブルターニュ」に対して、本来のブリタニアを示す呼び名だ。

フランスの「地域圏」は、いくつかの「県」がまとまって 一つの地域圏を成しており、
ブルターニュ地域圏は4つの県でできている。

最もパリ(Paris)に近く、首府レンヌ(Rennes)が置かれているイル=エ=ヴィレーヌ県(Ille-et-Vilaine)。
エメラルド海岸と称される美しい海岸線を持つ、北部のコート=ダルモール県(Côtes-d'Armor )。
古都ヴァンヌ(Vannes)を中心とした南部のモルビアン県(Morbihan)。

そして最も西側に、ブレストの町がある フィニステール県(Finistère)がある。
この「フィニステール」という名。フィニス=「終わり」を、テール=「大地」を意味する。
つまりこの地は「地の果て」と呼ばれてきたのだ。

地図を見ればよくわかるが、大西洋に突き出た半島の突端に位置し、その先には海しかない。
福井の東尋坊や、伊豆の城ケ崎を思わせるような断崖がある ラ岬(Pointe du Raz)などから、白波の向こうにゆるく弧を描く水平線を眺めていると、長い時間を経て大陸を渡ってきた往時の人々が、そう呼びたくなったのも、なんとなく解る気がしてくる。

県庁所在地は 50㎞ほど南にある カンペール(Quimper)だが、ブレストは フィニステール最大の(最も人口の多い)都市であり、フランス有数の軍港がある町として知られている。

国立海洋博物館(Musée National de la Marine)が入っているかつての城塞と、タンギー塔(Tour Tanguy)
国立海洋博物館(Musée National de la Marine)が入っているかつての城塞と、
円錐屋根が際立つ タンギー塔(Tour Tanguy)

第二次世界大戦で破壊されてしまった町ゆえ


ブレストには現在もフランス軍の軍港があるが、大西洋に突き出た半島突端の湾内に位置することから、古くから海軍の要所とされてきた。

第二次大戦ではドイツがこの地を占領し、そのドイツ占領軍から町を奪還すべく連合軍が大規模な爆撃をしかけるなど、町の主要部分はほぼ破壊されてしまった。

それゆえブレストの街には、パリなどのような様式美を誇る古い建物がほとんど見られない。

一般的にフランスの都市の市庁舎といえば、大変美しく豪華であったり、瀟洒であったりと、思わず見入ってしまう建造物が多いのだが、ブレストの市庁舎は(申し訳ないが)非常に味気ない普通の建物。

市庁舎(下の写真)も 繁華街の建物(冒頭写真)も 戦後復興時に建てられたもので、いわゆる「美」を意識して造られたものではないのだろう。

そのため、観光に訪れても、短時間の滞在だけでは、街歩きに魅力を感じる人は少ないかもしれない。

リベルテ広場(Place de la Liberté)とブレスト市庁舎(Hôtel de Ville de Brest)
リベルテ広場(Place de la Liberté)とブレスト市庁舎


【行き方】
・鉄道を利用する場合
 パリ、モンパルナス駅から、およそ3時間半~4時間
・飛行機を利用する場合
 パリ、シャルル・ド・ゴール空港、またはオルリー空港から、およそ1時間
 その他の都市からの便も就航している。

【主な見どころ】
・Pont de Recouvrance  (ルクーヴランス橋)
・Musée National de la Marine (国立海洋博物館)
・Tour Tanguy (タンギー塔)
・Rue Jean Jaurès (ジャン・ジョレス通り)
・Rue de Siam (シアム通り)
【参考サイト】
Office de tourisme de Brest métropole (ブレスト観光局)
Voyages-SNCF (TGV時刻検索)
Bibus (ブレスト市交通網)
Aéroport Brest Bretagne (ブレスト・ブルターニュ空港)

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