2018-04-21

観て回るには、ある程度の体力(脚力)が必要。坂と階段の町「ラグーサ」 【イタリア旅】

ラグーサ・イブラの路地からスペリオーレ地区を望む
ラグーサ「イブラ地区」から、「スペリオーレ地区」を望む

ラグーサ/シチリア/イタリア
Ragusa/Sicilia/ITALIA


前回、前々回記事は季節がら「桜」の話を書いたが、今回はまた、ラグーサの話(旅の話)へと戻る。

たまたま出会った ラグーサの住人 ジョバンニさんに、スペリオーレ地区を案内していただいたあと、私は彼と別れ、イブラ地区へと移動した。

下の街であるイブラ地区を歩き、それにより ラグーサの上下の街 両方を見たことになるのだが、ここで 一歩引いて 町の全容を眺めてみる。


ラグーサの街の 鉄道駅がある新市街地域を除いた、「スペリオーレ地区」と「イブラ地区」だけを 地図で見てみると、二葉(ふたば)を広げた植物を 俯瞰で眺めているような形に見える。

二葉と言っても、それは朝顔のような H型 の葉っぱではなく、いわゆるオーソドックスな形の葉。しかも、片方は大きく、片方は小さい。

右側(東側)の小さな葉っぱは「ラグーサ・イブラ(Ragusa Ibla)」。
地図で見れば高低差は判かりにくいが、左(西)にある 上の街「ラグーサ・スペリオーレ」に対して、いわゆる 下の街 である。

谷あいにある丘を 覆うように作られた街で、大小様々な路地が グネグネと迷路のように張り巡らされている。
上下両方の街を順々に歩けば、「イブラ」が「スペリオーレ」より 古くに作られたことがよくわかる。

また、過去の記事にも写真掲載してきたが、「スペリオーレ地区」から見下ろす「イブラ地区」の眺めは圧巻であり、ラグーサの町の 最も重要な見どころとなっている。


左側(西側)の大きな葉っぱは「ラグーサ・スペリオーレ(Ragusa Superiore)」。
1693年に起きた大地震の後、形成された。

地図を見れば、路地が碁盤の目状に並んでおり、新しい都市計画のもと、発展してきたことが読み取れる。

ラグーサ・スペリオーレ地区に広がる坂の様子
ラグーサ・スペリオーレは坂の上に広がる

それから やはり これも地図だと判りにくいが、スペリオーレ地区の街は緩やかな坂の上に広がっている。

下の街「イブラ」と競い合うように発展してきた経緯もあるのだろう、主な見どころは、イブラ地区に近い 街の東側(低い方)に多く存在する。


見て回るには ある程度の 脚力が必要


過去の記事に掲載している写真も 参照していただきたいが、ラグーサを観て回るには、概して、階段や坂道に対応できうる、ある程度の脚力が必要と言えよう。

特に、上の街「スペリオーレ地区」と下の街「イブラ地区」間の移動は、バスもあるようだが、本数がそれほど多くないので、それぞれの街を 時間を気にせず観て回るには、長距離の階段移動が必要となる。

路地や階段は それ自体とても趣があり、場所によっては 眺めも良いので十分楽しめるが、体力(脚力)に自信が無い方には ちょっと キツイかもしれない。

そのため、もし ゆとりある旅程が組めるなら、町に宿泊するなどし、(この時の私はできなかったが)時間的にも、体力的にも、余裕を持って散策することをおすすめしたい。

ラグーサ・イブラ地区に建つ「ドゥオーモ・ディ・サン・ジョルジョ」
Duomo di San Giorgio / Ragusa Ibla



【 行き方 】
・カターニアからバスで、約2時間
・シラクーサから鉄道で、約2時間~2時間15分

【主な見どころ】
・Cattedrale di San Giovanni Battista (サン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂)
・Duomo di San Giorgio (サン・ジョルジオ大聖堂)
・Chiesa di Santa Maria delle Scale (サンタ・マリア・デッレ・スカーレ教会 と そこからの眺め)
・Giardino Ibleo (イブレオ庭園)
・Ragusa Ibla e Ragusa Superiore (イブラ地区とスペリオーレ地区の街歩き)
・その他にも美しい教会、建造物など 見どころがある。

【 参考サイト 】
Comune di Ragusa (ラグーサ市)
ETNA TRASPORTI (エトナ交通/バス会社)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

2018-04-11

お互い片言なので、恥ずかしがらずに話せる「超~片言ミックス言語会話」で愉しく乗りきる

江戸城大手門をバックに美しく咲く桜

あの花は何というの?
“さくら”です。
サクラ・・・名前もキレイなのね。。。

ついこのあいだ、そんな会話をした。


先日、久しぶりに新幹線に乗ったときのことだ。
窓側に座った私の隣に、外国人マダムが座った。

彼女は3人連れで、通路を挟み、もう2人のマダムが並んで座る。

ちょぴり大きめの声で会話を繰り広げているが、何語を喋っているのかわからない。
揃って楽しそうにしているものの、ちょっと不安そうでもある。

新幹線に乗るのが嬉しいのか、3人集まって自撮りを始めた。

「僕が撮りましょうか?」拙い英語で隣のマダムに言ってみた。
隣のマダムは通路を挟んだ向こうの2人に、「§☇※○Ω◇♀♂!」と何やら声をかける。
おそらく「この人が写真撮ってくれるって!」と言っているのだろう。
スッとカメラ(スマホ)を渡された。

「はい。チーズ 」

そんなやり取りがあって、皆、席に落ち着いた。

「どちらから?」私は隣のマダムに聞いてみた。
「スペインよ」
「ようこそ日本へ。僕はスペイン語は話せないんだけど・・・」
「何語ができる?」

でた! これ、ヨーロッパで知り合った人に、時々聞かれる質問。“何語ができる?” とか “何語で話そうか?” 。。。

「あまり上手くはないのですが、簡単なフランス語、簡単なイタリア語なら・・・」

「それなら私も同じよ。随分前に習ったけど、もう忘れちゃったわ」

ということで、隣に座ったスペイン人マダムとの「超片言 フランス語・イタリア語・英語 ミックス会話」(←いつもだいたいコレで乗り切っているのです。ちゃんと喋れる人が聞くと、笑ってしまうレベルなので恥ずかしいのですが・・・)が始まった。

しばらくは、彼女たちがスペインのどの町に住んでいるかとか、近くにどんな町があるかとか、私が行ったことのあるスペインの町についてとか、そんな話をしていた。

「日本はどうですか? 楽しい?」
「最高よ! 町は清潔だし、皆親切。食べ物も美味しいわ」
「何を食べました?」
「オコノミヤキ! 食べた。でもね・・・」マダムはちょっと悲しそうな顔を作って、鞄の中から小さな筆入れのようなものを出した。
筆入れのジッパを開け、中からおもむろにフォークを取り出す。「ほら。これが無いと、日本では食事できないの。餓死しちゃうわ」
私とマダムは、お子様用の取っ手のついた可愛らしいフォークを見ながらケタケタ笑った。

「あなた、フランス語はどこで習ったの? 日本の学校で教わるの?」
「いや学校ではなくて、独学なんです。だからあまり上手くなくて・・・。でも、うちの奥さんがフランス人の先生に習っているので、時々教えてもらってます」

それを聞いたマダムはちょっとビックリしたような顔をして、通路を挟んだ2人のマダムに「§☇※○Ω◇♀♂!」と声高に言った。
2人のマダムは「あ、そう!」といったような感じで身体を乗り出し、私に「奥さんがフランス人なの?」と言ってきた。

「へ? いや違う違う! 奥さんが“フランス人”ではなくて、奥さんが“フランス人にフランス語を”習っているんです」
慌てて私が訂正し、今度は4人でケタケタ笑った。
周囲の人には、ちょっとうるさくて迷惑だったかもしれない。。。

「富士山って知ってますか?」私は聞いた。
「?」
「とても美しい山です。日本で一番高い山。ほら、あそこに見えてきた 」
「どこどこ? ・・・あ、知ってる。キレイ! わー!」
窓側にいた私は、彼女たちに席を譲ってあげた。

この後しばらくすると、もっと近くに見えてくるから・・・と言っているのに、代わる代わる写真を撮りまくっている。

その様子を見て、私は自分自身が初めて新幹線に乗ったころのことを思い出していた。
私も必死に富士山を追いかけていたような気がする。

撮った写真を何枚か見せてくれたが、案の定、写真の中の富士山はとても小さい。
それでも彼女たちは満足そうだ。

「山の上の・・・白いのは雪?」
「そう」
「キレイね」マダムは興奮気味に続ける。「私の娘がね。以前日本に来たとき、あの山を見ようとしたんだけど、曇っていて見えなかったと言っていたわ。この写真、娘に送らなきゃ。彼女は今、結婚してベネズエラにいるのよ。お腹が大きくって、あと3か月で赤ちゃんが生まれるんだから」
マダムはお腹の大きなお嬢さんの写真をスマホで見せてくれた。

「赤ちゃんが、男の子か女の子か、もうわかっているんですか?」
「女の子よ~。初孫なのよ~」マダムはスマホを抱きしめた。

「フェリシタシオン(Félicitations/おめでとう)はスペイン語で何というのですか?」
「フェリシタシオネス(Felicitaciones)ね」
「¡ Felicitaciones !」正確に言えたか判らなかったが、私は気持ちを込めて言った。
「ア・リ・ガ・ト。楽しみ楽しみ~」両手を頬にあて、無邪気に小躍りするマダム。

「ところで、僕は次の駅で降りるんですけど、皆さんはどこへ行くの?」
「京都よ」
「いいですね。今は“fleur de cerisier”(桜の花)”がとてもキレイだと思いますよ」
「昨日、大きな公園に行ったのよ。人がたくさんいて、花もいっぱい。日本の建物と花が良い景色を創っているの。歩いていると、ひらひらと花びらが降ってきて、雪みたいでとってもきれいだったわ」
「きっと京都でも見られますよ」
「あの花は日本語で何というの?」
「“さくら”です」
「サクラ・・・名前もキレイなのね。。。」
「この時期の、およそ1週間くらいしか見られない、日本人も大好きな花です。日本に今 旅行に来られたことは とても幸運だと思いますよ」
「ホント!?」マダムは嬉しそうに通路を挟んだ2人にそれを伝えた。

「それじゃ僕、ここ(静岡)で降ります。とても楽しかったです。ありがとうございました」
「私たちもよ。ところで、京都って、次の駅?」
「残念ですが、まだ半分も来ていません」
「えーっ!」
「はは・・・忍耐が必要ですね。それじゃ、さようなら。よい旅を続けてくださいね」
「ありがとう。ぷーっ、まだまだ先なのね~。さようなら。よい仕事をね」

私は新幹線を降りた。

2018-04-01

久しぶりに会う友達

京都御所内、近衛邸跡近くの枝垂れ桜。たくさんの人が写真を撮りに訪れている中、逆光で撮影。

一口に「友達」と言っても、色々な友がいる。
しょっちゅう会う仲間。時々会う友人。たまぁに会う友達。ずーっと会っていない旧友。

学生時代は部活などで、友達とは常につるんでいることも多いが、
大人になるとそうもいかない。

社会人になっても、しょっちゅう一緒にいる仲のよい友がいることは、けっして悪いことではないが、場合によっては、冷めてしまった夫婦のように、話すことが無くなりはしまいか。

そういう意味では、たまに会う友達というのも、なかなか好いような気がする。

久しぶりに会うわけだから、たぶんお互いニコニコしている。
会うのが楽しみなのだ。

「元気だった?」といったところから、昔話や近況まで、お互いの話は尽きない。
飲食店での再会なら、「カンパーイ!」の声も、ついつい大きくなってしまう。


桜は1年に1度会う友達のようだ。
会いに行けば、仄かに紅潮した、思いっきりの笑顔で迎えてくれる。

こちらも自然と笑顔になる。
会うのが楽しみだったのだ。

人と話すように、桜に向かって ブツブツと話をするわけにはいかないが、
今年も会えた感謝は伝えたい。

桜にも、人にも、自分にも。
「カンパーイ!」


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