2018-06-21

パルマノーヴァで見た、イタリア式「交通安全祈願」ドライブスルー? 【イタリア旅】

フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州、パルマノーヴァのドゥオーモの前で次々に現れる車に交通安全の祝福をする神父さん。

パルマノーヴァ/フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア/イタリア
Palmanova/Friuli-Venezia Giulia/ITALIA


2015年春、パルマノーヴァを訪れた。(前回記事の「つづき」です。)

町の中心 グランデ広場(Piazza Grande)に隣接するドゥオーモの前に、神父さんと少年が並んで立っている。

その前を、次々に車がやって来て停まる。
神父さんが 手に持った 小さな棒を振りかざし、車の上で チョンチョンと振る。

おそらく、車やドライバーへの「祝福」をされているのだと思うのだが、
それは、日本の神社で 神主さんが訪問者の頭上で「御幣(ごへい)」や「神楽鈴」を振ってお祓いするときの様子と似ていた。

「祝福」を兼ねた イタリア式「交通安全祈願」なのかもしれない。

祝福してもらった車が、ゆっくり発進すると、次の車が神父さんの前にやってくる。
そしてまた、神父さんが 棒を チョンチョンと振る。
その繰り返し。

祝福のドライブスルーだ。

祝福待ちの車は、ドゥオーモ脇の通りからどんどん現れる。
祝福を終えた車は、六角形の一辺を進んで別の道に消える。
町じゅうの車が 列をなしているのか・・・。

町の中心グランデ広場に置かれた「真っ赤な犬のオブジェ」と
広場に隣接するドゥオーモ

次々に現れていた車の列が途切れ、神父さんたちも引き上げていったので、バロック様式っぽいファサードを眺めながら ドゥオーモに入ってみた。

ドゥオーモと言うと、どーも大きい教会を想像してしまうが、小さい町のドゥオーモは 比較的 こじんまりしている場合が多い。

それでも内部の装飾など、大きな町の大聖堂に引けを取らず立派なことが多く、パルマノーヴァのドゥーモも例外ではない。

パルマノーヴァのドゥオーモ(カトリック大聖堂)内部の様子。
パルマノーヴァのドゥオーモ(カトリック大聖堂)内部の様子

そんな素晴らしい教会の中で、地元のおばちゃんたちが「井戸端会議」ならぬ、「神端会議」に勤しんでいる。

ヒソヒソ声で話している この感じの「会議」は、洋の東西を問わず とかく長いことが多い。
誰もいない祭壇の様子を撮影しようと、会議が終わり解散するのを しばらく待ったが動きはない。
それで仕方なく、お3人さんに 写っていただくことにした。

何を話しているのかは判らぬが、2年後の 2017年、自分たちの暮らす町が 世界遺産に登録されることを、この時 彼女たちは 想像していただろうか。。。




【 行き方 】
・ヴェネツィア・マルコ・ポーロ空港からアウトストラーダを使い、車で およそ1時間(約100㎞)
・トリエステ(Trieste)から車で、およそ1時間(約55㎞)
・鉄道で行く場合、ヴェネツェイアから、チェルヴィニャーノ・アクイレイア・グラード(Cervignano-Aquileia-Grado)経由で およそ2時間。ウーディネ(Udine)経由で2時間30分前後。

【主な見どころ】
・Piazza Grande (グランデ広場)
・Il Duomo di Palmanova (ドゥオーモ/大聖堂)
・Civico Museo Storico (市歴史博物館)
・Museo storico militare (軍事歴史博物館)
・Porta Aquileia/Porta Udine/Porta Cividale (3つの門とその周辺の土塁や堀)

【 参考サイト 】
PALMANOVA CITTA' FORTEZZA (パルマノーヴァ案内サイト)
Comune di Palmanova (パルマノーヴァ市庁舎)
UNESCO (「ユネスコ」サイト/パルマノーヴァの頁)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

2018-06-11

星の形をした平城(ひらじろ)のよう。かつてのヴェネツイア共和国が作った要塞都市「パルマノーヴァ」 【イタリア旅】


パルマノーヴァ/フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア/イタリア
Palmanova/Friuli-Venezia Giulia/ITALIA


前回記事で、地図上で見ると「雪の結晶」のように見える「正6角形」の町、グランミケーレ(Grammichele)について書いた。

そこで今回は、更に角数の多い、外形が「正9角形」であり「星の形」にもなっている「パルマノーヴァ」の町について記そうと思う。

訪れたのは2015年の春。
ヴェネツィア(Venezia)から スロヴェニア共和国(Slovenija)へ 車で向かおうと考えていた折、どこか途中に面白そうな町はないかなぁ・・・と、地図を眺めていて目に留まったのがこの町だった。

地図を見ながら、またもや その形状に魅了され、例によって「何だこれ。面白そう。行ってみたい‼」となったのだ。

グランミケーレを訪れたときに、同じように高ぶった気持ちが、町に入って萎えてしまったことなど、10年近い時を経て、すっかり忘れてしまっている。


星の形をした 平城(ひらじろ)のよう


アウトストラーダ(Autostrada/高速道路)を降り、案内看板に従って、木々や家々が並ぶ それこそ普通の道を北上していると、フッと視界が開けた。

一瞬、だだっ広い草原地帯に出たように思うが、そこに「土塁」や「堀」の跡が見てとれる。
日本国内を旅したとき、「昔ここに砦があった」などの案内があり、平地にある小さな城跡なるものを観ることがあるが、規模の違いこそあれ、まさにそれと似たような雰囲気。

「なるほど、こんな感じか~」と、そのまま 真っ直ぐ進んで行くと、今度は先ほどより「大きく高い土塁」と「広く深い堀」が目の前に迫ってくる。

町の入り口にあたる 門が はっきり見える位置まで来ると、先ほど「砦」と例えていたその奥に、更に大きな「城」が控えていたことがわかる。

「城」と言ったが、実際には「要塞都市」である。
門の外に、複数の防衛線が引かれており、それが、ここに至るまで目にした土塁や堀だ。

土塁や堀を辿ってみれば、この場で見る分にはわからないが、おそらく地図で見た 幾重かの「星の形」になるのだろう。



門をくぐると やはり そこは普通の街


パルマノーヴァの中心グランデ広場(Piazza Grande)に置かれていた緑色と赤色の鳥のオブジェ。
町の中心「グランデ広場(Piazza Grande)」に置かれたカラフルな鳥のオブジェ

グランミケーレを訪れた際も経験したが、町の中は いたって普通の 現代の街並みだ。
チラホラと観光客が訪れているようだし、建物もきれいで 寂びれた感じはない

それにこの期間は、そこここに 鳥や犬などの カラフルな動物のオブジェが置かれ、何某かのアート・イベントが催されているようだった。

町の中心には、正六角形の「グランデ広場(Piazza Grande)」があり、その周りを ドゥオーモや市庁舎、カフェやお店、郵便局などが取り囲んでいる。

町の外郭が9角形なのに、中心にある広場が6角形という 町の造りも面白い。

広場はかなり広く、祭りやイベントの開催場所としては もってこいだろう。
移動遊園地やサーカスなどを招致するにも、事欠かない大きさだ。
ただ、町の入口である「門」が狭いので、大きな機材の運び込みが難しいかもしれないが・・・。

グランデ広場からのびる道の先に、アクイレイア門(Porta Aquileia)が見える。

グランデ広場からは 道が放射状に 6本伸びており、そのうちの3本が 町の外に出る門へと繋がっている。

南に アクイレイア門(Porta Aquileia)。北西に ウーディネ門(Porta Udine)。そして、北東に チヴィダーレ門(Porta Cividale)と、それぞれの門の名は、その先にある町の名前が付けられている。

これらの門や城壁は、この地における要塞として外敵の侵略を防ぐため、かつてのヴェネツィア共和国によって、15世紀から17世紀にかけて 造られたという。

歴史上、戦争によって この場所が 激しい攻撃にさらされた経緯があるかどうかは知らないが、間口の狭い門の姿と 周辺の土塁や堀の跡を眺めていると、目の前にある 今の風景がとても長閑なだけに、逆に 重く悲惨な「戦い」のイメージが 浮かぶ。


何のためか 知らぬ 凄まじい戦闘
敵も 味方もない 勝ちも 負けもない
そこにある 人 一人一人の「死」
知っているだろう
後に 平和が訪れたとしても
彼らにはもう 遅いってことを




【 行き方 】
・ヴェネツィア・マルコ・ポーロ空港からアウトストラーダを使い、車で およそ1時間(約100㎞)
・トリエステ(Trieste)から車で、およそ1時間(約55㎞)
・鉄道で行く場合、ヴェネツェイアから、チェルヴィニャーノ・アクイレイア・グラード(Cervignano-Aquileia-Grado)経由で およそ2時間。ウーディネ(Udine)経由で2時間30分前後。

【主な見どころ】
・Piazza Grande (グランデ広場)
・Il Duomo di Palmanova (ドゥオーモ/大聖堂)
・Civico Museo Storico (市歴史博物館)
・Museo storico militare (軍事歴史博物館)
・Porta Aquileia/Porta Udine/Porta Cividale (3つの門とその周辺の土塁や堀)

【 参考サイト 】
PALMANOVA CITTA' FORTEZZA (パルマノーヴァ案内サイト)
Comune di Palmanova (パルマノーヴァ市庁舎)
UNESCO (「ユネスコ」サイト/パルマノーヴァの頁)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

2018-06-01

「雪の結晶」のような、「蜘蛛の巣」のような・・・地図上で目を引くシチリアの町、グランミケーレ 【イタリア旅】

六角形の町の形が印象的なシチリアの町「グランミケーレ」にある町の地図看板。

グランミケーレ/シチリア/イタリア
Grammichele/Sicilia/ITALIA


10数年前のこと。
シチリアに滞在していた折、陶器の生産や、大階段(スカーラ)で有名な カルタジローネ(Caltagirone)へ向かおうと 地図を眺めていた。
(この記事を書いているのは2018年です。)

当時はまだ「Googleマップ」なども無く(もしかしたら 既に存在していて、単に私が使えなかっただけ なのかもしれないのですが・・・)、現地で買った 紙の地図を見ていて、目的地や道程とは別に、ふと目に留まった町があった。

何故、目に留まったか。。。
それは、地図上の町が、とても興味をひく 面白い形をしていたからなのだが、面白いと言っても、仏さまの姿に見えるとか、ドラえもんの顔に見えるとかいった、そういうのではない。

ただ単に、そこに 町の形状として、「正六角形」があるのだ。

単に六角形と言うと、大して面白くもないように感じるが、整いすぎた輪郭を持つ町というのは、逆に異様に見える。
ハッキリとした 正六角形の形があり、それが町の主要部分を象っている。

町の成り立ちを推測するに、いつのころか まず六角形の町が作られ、そこを中心に 現代の街が拡がっていったのだろう。

六角形の内部には、うねうねとしたカーブ路はなく、ある程度 秩序だった様子で、直線の路が 細かく張り巡らされている。

全体のシルエットは まるで「雪の結晶」のよう。
あるいは、「蜘蛛の巣」に例えても 良いかもしれない。

地図上に浮き上がる その造形の美しさに 一気に興味がわき、カルタジローネへと向かう途中、立ち寄ってみることにした。


地図で 町の形を見て「面白そう!」と 訪れてみたが・・・


町の中は 至って普通の イタリアの町

グランミケーレの街角にあった看板地図(冒頭写真)を見て「おおー。六角形だぁ!」と、ちょっぴり感動したのも束の間、実は それ以外に 六角形を感じる場所がない。

道路の交差角度が90度でないのはわかるが、そんなのは どこの街にもあり、珍しくない。

唯一「六角形」を体感できそうな、町のド真ん中「サンタ・マリア・カラファ広場」(Piazza Carlo Maria Carafa)は、運悪く 工事中で入れない。

結局のところ、町を俯瞰で眺めれば「六角形」の姿を捉えられるが、地上から見える景色は、普通の町と 何ら変わりない。

今ならきっと、ドローンなどを使って 六角形を楽しむことも、考えられないではないが、当時は、そんなこと 想像だにしていない。

ということで、「雪の結晶みたいで美しい!」と感じ、盛り上がったあの思いは、敢えなく萎んでしまった。

ただ、別の観点から、この街の姿について考えてみると、
六角形に作られた理由とは、「雪の結晶」などと 私が思ったような呑気な理由ではなかろう。

おそらく、戦いのため、町を守る防衛上の理由ではないかと思うのだが、要塞都市にありがちな 堅牢な門や城壁などは目にすることもなく、詳細についてはよくわからない。



【 行き方 】
・カターニャから鉄道で、約1時間30分
・カターニャからバスで、約1時間10分
・カターニャからレンタカーで、約1時間10分(およそ65㎞)

【主な見どころ】
・Piazza Carlo Maria Carafa (サンタ・マリア・カラファ広場)
・Chiesa Madre (カトリック教会)

【 参考サイト 】
busradar.com (ヨーロッパのバス検索サイト)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

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