2018-09-21

南フランスの山間、中世の姿が色濃く残る美しい村「サン=ギレーム=ル=デゼール」 【フランス旅】

フランス、オクシタニー地域圏の美しい村「サン=ギレーム=ル=デゼール」の入り口あたり。

サン=ギレーム=ル=デゼール/オクシタニー/フランス
Saint-Guilhem-le-Désert/Occitanie/FRANCE


「この手の村、しっかり残すよね~。さすがフランス‼」 そう称えたくなる。

フランス南部、エロー県(Le département de l'Hérault)の山間にある 美しい村「サン=ギレム= ル=デゼール」は、この地域の観光地として、最も人気の高い場所の一つだ。

小さな村ゆえ、村内に特別な観光スポットが多く存在するわけではないが、黄土色の石壁で造られた古い家々が並ぶ「村そのもの」が見どころと言ってよい。

花で飾られた民家やお店、気ままに歩きまわる猫や犬(私が訪ねたときには、ニワトリも飛び出してきました)、泉に小川、人々が愉し気に集う広場、村を囲う山々などと、石畳の細い路地を歩いているだけで、中世の姿が色濃く残る村の魅力を存分に味わえる。

そんな中、一ヶ所だけ、忘れずに立ち寄りたい場所がある。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の一つとして世界遺産登録されている「ジェローヌ旧大修道院」(Ancienne Abbaye de Gellone)だ。

サン=ギレーム=ル=デゼールの最も重要な見どころ「ジェローヌ旧大修道院」
中央に見える円形の建物とその左側が「ジェローヌ旧大修道院」

ロマネスク様式と言うのだろうか。その姿は、外から眺めても、中の回廊を巡っても、素朴な美しさを存分に味わわせてくれる。


古く美しい村のある場所は・・・


しかし、このように、美しく保全された村は、概して行きにくい場所にあると言ってよい。

写真をご覧いただいてもわかるが、近くに険しい岩山も見えるように、村は山に囲まれた谷あいにある。

この場所に訪れたのは5年ほど前(2013年)のことだが、この記事を書くにあたり写真を見直していて、ふと思った。

「真田丸のオープニングみたいやな・・・」
2016年NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニング映像に出てきた岩山を、勝手に思い起こしてしまったのだ。
確か・・・写真にあるように、岩肌がむき出しで、頂がギザギザした険しい山が使われていたような。。。

・・・失礼。話が逸れてしまった。

公共交通機関を用いてこの村を訪れるのは、不可能なわけではないが、やや難しい。
というのも、鉄道は無く、バスも1日に数本しかない。しかも、近郊の最も大きな町であるモンプリエ(Montpellier)から向かう場合、途中の町ジニャック(Gignac)で乗り換えが必要となる。

そのため、もし可能であるなら、モンプリエの町や空港から、レンタカーで向かうのがベターと言える。


ところで、町の名前「Montpellier」は「モンプリエ」じゃなくて「モンペリエ」じゃないの? と疑問を持たれた方もいるかもしれない。

日本語のガイドブックには、殆どそう書かれているし、実際、フランス語の綴りの原則から考えると、読みは「モンペリエ」となる。

しかし、何故かはわからないが、フランス人がこの町の名を呼ぶとき「モンプリエ」と言うのをよく聞く。そのため、ここでは表記を「モンプリエ」としています。




【 行き方 】
・レンタカーの場合。モンプリエ空港(Aéroport de Montpellier Méditerranée)から、およそ1時間(約55㎞)
・バスを利用する場合。(現状を調べたところ、これはおそらくですが・・・)
まず、モンプリエの中心街から、バスターミナル(Gare routière)のある、近郊の「Sabines」へトラムで移動する必要があります。そこからエロー交通(Hérault Transport)のバスでジニャック(Gignac)へ行き、乗り換えて、サン=ギレム= ル=デゼールへ向かうことになると思われます。(※バスターミナルは場所が変わることもあり、また、バスの本数も少ないですので、モンプリエの観光局で確かな情報を収集ください。)

【主な見どころ】
・Ancienne Abbaye de Gellone (ジェローヌ旧大修道院)
・Place de la liberté (リベルテ広場)
・村全体が見どころでもある。

【 参考サイト 】
Office de Tourisme Saint-Guilhem-le-Désert (サン=ギレム= ル=デゼール観光案内所)
Hérault Transport (エロー交通/バス会社)

2018-09-11

海と佇む町、海を鑑賞する町「レリチ」 【イタリア旅】

イタリア、リグーリア州、レリチの町の海辺で佇む父と子。

レリチ/リグーリア/イタリア
Lerici/Liguria/ITALIA


父 曰く「大きくなれよ」
子 呟く「このままがいい・・・」



レリチは「海の町」だ。
こう書いてしまうと、ゴッツイ漁師さんたちが牛耳っていそうな町のイメージになってしまうが、そうではないので、ちょっと違った例えをする。

レリチは「海と佇む町」、あるいは、
レリチは「海を鑑賞する町」と言ってもよいのではないか。そう思うのである。

美術館に行くと、絵画の前にそれを鑑賞し佇む人たちが多くいるが、この町には、まるで海を鑑賞しているかのように、佇んでいる人が大勢いるのだ。(ま、海のリゾート地はだいたいそういうものかもしれませんが・・・)

にこやかに会話をしながら、海や行き交う舟を眺めているカップル。
波消しブロックの上に独り、黙って海を見つめている老紳士。
防波堤の上にベタリと座り込んで、気持ちよさそうに遠くを見ている若者たちの様子は、パリ(Paris)のオランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)の大広間で、やはり同じように座り込んで、モネ(Claude Monet)の睡蓮を鑑賞している若者たちの姿に重なる。

穏やかな海の景色を前に、皆それぞれに心を動かしたり、静めたりしている。


日没時はドラマチックな光景が広がる


町から見ると海は西側にある。
したがって、日本列島の日本海側の町のように、夕方、太陽は海側に沈む・・・ことになるはずなのだが、レリチの町の 目の前に広がる海の向こうには、あまり高くない山々が連なっている。
そこに小さな半島が突き出ているのだ。

目の前の海は、海は海でも「湾」。近隣で最も大きな町「ラ・スペツィア(La Spezia)」の名がついた ラ・スペツィア湾(Golfo della Spezia)である。

半島の先端には、世界遺産にもなっている「ポルトヴェーネレ(Portovenere)」の町があることから、この湾の名も 今ではかなり有名になった。

そんなわけで、町から拝む夕陽は水平線に沈むわけではなく、海にの向こうの半島の、更に向こう側に沈むことになる。(季節によっては海に直接沈む夕陽が見られるかもしれません。)

「な~んだ」と、幻滅しないでほしい。

確かに、直接海に沈む夕陽は美しく 目にすると感動するが、あまり高くない山々の向こう側に沈むことになる太陽が、その姿を隠す前に作り出す光景も趣きがある。
しかもその手前に水面があるときは秀逸だ。

イタリア、レリチの町から眺めた夕景。太陽光が海原に輝きとても美しい。

深く沈む半島の陰と、穏やかに輝く金色の海。
その美しいコントラストと共に、港に並ぶ舟が 独特の文様を生み出している。

自然と人の暮らしとの関係を、シンプルで美しい一枚の絵に仕立ててくれているよう。

まさにこの景色と佇み、この景色を鑑賞したくなる。
レリチは、そんな町だ。




【行き方】
・ジェノヴァ(Genova)からラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)まで、鉄道でおよそ1h00~1h40。
 ラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)からレリチまで、バスで約40分。
・また、ラ・スペツィア中央駅へは、ピサ(Pisa)から鉄道で北上する行き方もあり、こちらはおよそ1h00。

【主な見どころ】
・Piazza G. Garibaldi (ガリバルディ広場)
・Castello S.Girgio (サン・ジョルジオ城)
・Museo Geopaleontologico (地質古生物学博物館)

【参考サイト】
Comune di Lerici (レリチ町)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

2018-09-01

天気の良い日は、紺碧の空と海が旅人を待ち受ける。平和な空気が漂う町「レリチ」 【イタリア旅】

イタリア、リグーリア州の東端にある風光明媚な町レリチ

レリチ/リグーリア/イタリア
Lerici/Liguria/ITALIA


イタリアン・リビエラ(Riviera)とも呼ばれるリグーリア州(Regione Liguria)の東の端、ラ・スペッツイア湾(Golfo della Spezia)の東岸にレリチの町はある。

訪れてまず目につくのは、港の南の高台に聳える城だ。
無機質な色と、厳つい面持ちのこの建造物は、その昔、この海域が戦いに塗れていたことを物語る。

しかし城塞に背を向け、街並みを見渡せば、カラフルで暖かい色合いの建物と、リゾート感溢れる植物の緑で街は溢れている。

平和な空気が町全体に漂い、天気の良い日は、紺碧の空と海が、旅人を待ち受ける。

レリチの街はそれほど大きくはない。
小高い山が町を囲んでおり、海に面したガリバルディ広場(Piazza G. Garibaldi)を中心に、半すり鉢状に街が広がる。

「半すり鉢状」は解りづらいだろうか・・・。

劇場の形といってもよいかもしれない。古代ローマ遺跡などで見られる劇場の形。
舞台がガリバルディ広場で、背景が海。そして街並みが観客席だ。(よけい解りづらいですかね。。。)


ぶらり歩けば、優雅な気分に・・・


イタリア、レリチの街を高台のホテルから眺める

散策して楽しいのは、レストランや商店が建ち並ぶガリバルディ広場の周辺と、海沿いの通り、更に港の岸壁沿いだ。

静かな海面に、無数のヨットやボートが並んでいて、ぶらり歩きながら眺めていると、とても優雅な気分になってくる。

舟の上でゆったりと作業をしている人の姿を頻繁に見かける。
これからクルーズに出るのだろうか。それとも漁の帰りだろうか。
船上に佇む人の動きから、美しく豊かな海と関わる地元の人たちの暮らしが垣間見える。


リグーリア地方、レリチの港にあるガソリンスタンド

港の南岸にガソリンスタンドがあった。

ガソリンスタンドというものは、道路沿いにあるのが当たり前とばかり思っていたが、ここでは違うようだ。
身近に海があり、舟を車のように扱う人たちにとって、この場所にスタンドがあることは当たり前のことなのだろう。

店番をする人なのか、お客さんなのか、お酒を片手に皆で和やかに話し込んでいる姿が、イタリアの街らしく、とても微笑ましく見えた。



【行き方】
・ジェノヴァ(Genova)からラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)まで、鉄道でおよそ1h00~1h40。
 ラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)からレリチまで、バスで約40分。
・また、ラ・スペツィア中央駅へは、ピサ(Pisa)から鉄道で北上する行き方もあり、こちらはおよそ1h00。

【主な見どころ】
・Piazza G. Garibaldi (ガリバルディ広場)
・Castello S.Girgio (サン・ジョルジオ城)
・Museo Geopaleontologico (地質古生物学博物館)

【参考サイト】
Comune di Lerici (レリチ町)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

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