2018-09-11

海と佇む町、海を鑑賞する町「レリチ」 【イタリア旅】

イタリア、リグーリア州、レリチの町の海辺で佇む父と子。

レリチ/リグーリア/イタリア
Lerici/Liguria/ITALIA


父 曰く「大きくなれよ」
子 呟く「このままがいい・・・」



レリチは「海の町」だ。
こう書いてしまうと、ゴッツイ漁師さんたちが牛耳っていそうな町のイメージになってしまうが、そうではないので、ちょっと違った例えをする。

レリチは「海と佇む町」、あるいは、
レリチは「海を鑑賞する町」と言ってもよいのではないか。そう思うのである。

美術館に行くと、絵画の前にそれを鑑賞し佇む人たちが多くいるが、この町には、まるで海を鑑賞しているかのように、佇んでいる人が大勢いるのだ。(ま、海のリゾート地はだいたいそういうものかもしれませんが・・・)

にこやかに会話をしながら、海や行き交う舟を眺めているカップル。
波消しブロックの上に独り、黙って海を見つめている老紳士。
防波堤の上にベタリと座り込んで、気持ちよさそうに遠くを見ている若者たちの様子は、パリ(Paris)のオランジュリー美術館(Musée de l'Orangerie)の大広間で、やはり同じように座り込んで、モネ(Claude Monet)の睡蓮を鑑賞している若者たちの姿に重なる。

穏やかな海の景色を前に、皆それぞれに心を動かしたり、静めたりしている。


日没時はドラマチックな光景が広がる


町から見ると海は西側にある。
したがって、日本列島の日本海側の町のように、夕方、太陽は海側に沈む・・・ことになるはずなのだが、レリチの町の 目の前に広がる海の向こうには、あまり高くない山々が連なっている。
そこに小さな半島が突き出ているのだ。

目の前の海は、海は海でも「湾」。近隣で最も大きな町「ラ・スペツィア(La Spezia)」の名がついた ラ・スペツィア湾(Golfo della Spezia)である。

半島の先端には、世界遺産にもなっている「ポルトヴェーネレ(Portovenere)」の町があることから、この湾の名も 今ではかなり有名になった。

そんなわけで、町から拝む夕陽は水平線に沈むわけではなく、海にの向こうの半島の、更に向こう側に沈むことになる。(季節によっては海に直接沈む夕陽が見られるかもしれません。)

「な~んだ」と、幻滅しないでほしい。

確かに、直接海に沈む夕陽は美しく 目にすると感動するが、あまり高くない山々の向こう側に沈むことになる太陽が、その姿を隠す前に作り出す光景も趣きがある。
しかもその手前に水面があるときは秀逸だ。

イタリア、レリチの町から眺めた夕景。太陽光が海原に輝きとても美しい。

深く沈む半島の陰と、穏やかに輝く金色の海。
その美しいコントラストと共に、港に並ぶ舟が 独特の文様を生み出している。

自然と人の暮らしとの関係を、シンプルで美しい一枚の絵に仕立ててくれているよう。

まさにこの景色と佇み、この景色を鑑賞したくなる。
レリチは、そんな町だ。




【行き方】
・ジェノヴァ(Genova)からラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)まで、鉄道でおよそ1h00~1h40。
 ラ・スペツィア中央駅(Stazione La Spezia Centrale)からレリチまで、バスで約40分。
・また、ラ・スペツィア中央駅へは、ピサ(Pisa)から鉄道で北上する行き方もあり、こちらはおよそ1h00。

【主な見どころ】
・Piazza G. Garibaldi (ガリバルディ広場)
・Castello S.Girgio (サン・ジョルジオ城)
・Museo Geopaleontologico (地質古生物学博物館)

【参考サイト】
Comune di Lerici (レリチ町)
TRAINITALIA (イタリア鉄道)
Trenitalia 代理店 (イタリア鉄道検索/日本語版)

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